米グレースケール・インベストメンツのピーター・マインツバーグ(Peter Mintzberg)CEOは27日、米フォーチュン誌(Fortune)への寄稿で、ビットコイン( BTC )が直近1週間で約20%急騰し、2023年以来最も強い3日間の上昇を記録したことに触れた。同氏はこの急騰や年初来の弱気ムードといった短期の値動きに市場が一喜一憂する状況を「木を見て森を見ず」と評した。
同氏によれば、値動きよりも重要なのは機関投資家の資金流入と企業によるブロックチェーン活用の拡大だという。ブラックロックやアポロ(Apollo)、ゴールドマン・サックスで20年間資産運用に携わった経歴を踏まえ、新しい資産クラスは「理解される前に否定され、受け入れられる前に議論され、やがて金融システムに組み込まれる」という過程をたどると説明した。
マインツバーグ氏によると、2025年のビットコイン関連ETP(上場投資商品)への日次資金流入は定常的に5億ドルを超え、これはマイナーが日々新規発行する供給量の約12倍に相当する。米国上場の現物ビットコインETPは8週連続の資金流出を経た後、7月下旬にかけて3週連続の流入に転じた。年間ベースでは依然として流出超過だが、直近の下落幅も過去の「仮想通貨の冬」を特徴づけた70〜80%という下落率に比べて浅いという。
同氏はこうした動きの背景として、2026年にEYが機関投資家350人超を対象に実施した調査を挙げた。回答者の73%が仮想通貨への配分を増やす計画を示したとしている。
企業側の動きとしては、2025年時点でフォーチュン500企業の経営幹部の約60%が自社でブロックチェーン関連の取り組みを進めていると回答したと紹介。フィデリティやVisa、Stripeなどがステーブルコイン関連の事業を推進している事例も挙げた。
AIと仮想通貨を対立軸で語る論調についても同氏は否定的な見方を示す。AIエージェントが機械同士の少額決済や即時の国際送金を必要とする局面では、ブロックチェーンが適した基盤になるとし、両技術は補完関係にあると位置づけた。中央集権的なAI開発が抱える偏りや管理の問題についても、分散型の技術やブロックチェーンを使った本人確認の仕組みが緩和策になり得るとの見解を示した。
マインツバーグ氏は寄稿の結びで「そこにあるのがシグナルであり、残りは雑音にすぎない」と述べ、短期的な価格変動ではなく機関・企業レベルでの動きこそ注視すべきだと訴えた。


