政府と日銀が、国債や株式の資金決済を24時間いつでも即時に完了できる仕組みの整備に動き出した。日本経済新聞は26日、金融庁と財務省、日銀、金融機関などが参加する検討会を今夏に立ち上げ、2027年初にも整備計画をまとめる方針だと報じた。ブロックチェーン(分散型台帳)を使った実証実験はこれまでも行われてきたが、導入に向けた具体的な日程が固まるのは今回が初めて。
現在の日本では、株式の普通取引は約定から2日後、国債は原則1日後に資金決済が完了する仕組みだ。即時決済が実現すれば、投資家は証券の売却で得た資金をすぐに次の投資へ回せるようになる。整備方針が正式に決定すれば数年後の運用開始を見込み、単純計算では2030年代前半にも稼働するとみられる。
今回の構想の核心は、銀行が日銀に預ける当座預金の一部をブロックチェーン上で流通するトークンへ変換する仕組みだ。日銀はこの報道より前から検討を進めており、植田和男総裁は3月、東京で開催された金融イベント「FIN/SUM2026」で、当座預金の形で中央銀行マネーを用いた決済のサンドボックス実験に取り組んでいると明らかにした。
日銀が6月に公表した資料では、当座預金をトークン化する場合の技術的・実務的な課題を「DLT連携サンドボックス」で検討する方針が示され、24時間365日稼働を想定した基盤にトークン化用の当座預金を設け、複数のDLT基盤と接続する構成が描かれている。7月公表の関連協議会の議事要旨でも、日本銀行から、ホールセール型CBDCと個人向けの一般利用型CBDCは目的が異なるものの並行して検討可能だとの見解が示された。
民間の動きも並行して進む。三菱UFJフィナンシャル・グループは8月、日本国債のレポ取引を対象に、トークン化預金やステーブルコインを活用したブロックチェーン即時決済の実証実験を始めたと発表した。政府・日銀の今回の取り組みは、こうした証券のトークン化に対して資金決済の面から呼応する狙いもある。
影響は国際送金にも広がりうる。国際決済銀行(BIS)は2024年から、日本を含む複数国・地域の中央銀行とともに、トークン化した中央銀行預金でクロスボーダー決済を検証する「プロジェクト・アゴラ」を進めている。政府・日銀の取り組みは、この構想が実現した際の基盤技術になるとみられる。


