グレースケールの調査部門は12日付のリサーチノートで、ビットコイン( BTC )相場が安定化の兆しを見せており、直近の弱気相場が終盤に差し掛かっている可能性があるとの見方を示した。同社は短期の値動きにかかわらず、中長期的にはビットコインの普及が拡大し続けるとし、その根拠として3つの構造要因を挙げている。
同社調査責任者のザック・パンドル(Zach Pandl)氏が挙げたのは、政府債務の増加、ブロックチェーン技術の金融分野への浸透、投資家層の世代交代という3要因。
第一の要因は政府債務の膨張だ。パンドル氏は、財政赤字の継続がインフレや通貨の実質価値低下への懸念を強め、投資家が供給量の限られた資産へ資金を振り向ける可能性を指摘した。
ビットコインは発行上限が2,100万BTCに固定されており、この観点から代替資産の候補になり得るとの見方を示した。ただし財政赤字とビットコイン需要の関係は実証されたものではなく、この論には否定的なエコノミストも一定数いる。
第二の要因はブロックチェーン技術の金融分野への浸透。ステーブルコインやトークン化資産の普及が進むことで、金融機関や仲介事業者がブロックチェーン基盤を備える機会が広がるとした。パンドル氏は「技術の普及が進むほど、より多くの仲介事業者がビットコインを取り扱い保管するための基盤と規制上の明確性を備え、金融システムの外側に置かれた存在ではなくなっていく」と述べた。
第三の要因は投資家層の世代交代だ。若年層ほどデジタル資産への選好が強く、オルタナティブ資産がポートフォリオの標準的な構成要素になりつつあると分析した。機関投資家や資産運用会社、個人投資家が上場投資商品(ETP)などを通じてビットコインへの投資を拡大するとの見通しを示した。同社は、需要拡大がボラティリティを解消するものではなく、金利や流動性動向は引き続き価格変動要因になるとも付け加えている。
グレースケールは6月時点のリポートで、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げを見送れば、株式に対して出遅れていたビットコイン相場が持ち直す余地があるとの分析も示していた。今回の分析は価格見通しではなく普及動向に焦点を当てたもので、同社は短期の相場変動と中長期の普及トレンドを切り分けて説明している。


