ロシア中央銀行(Bank of Russia)は11日、非適格投資家(一般投資家)が暗号資産(仮想通貨)を購入する際のルールを定めた規則案を公表した。一般投資家について、仮想通貨の購入額を1つの仲介業者につき、年間30万ルーブル(約58万円)に制限する方針を明らかにした。
仲介業者には、仮想通貨交換業者(取引所)、ブローカー、資産運用会社などが含まれる。
対象となる仮想通貨も流動性の高い銘柄に限定される。ロシア中銀は急激で予測不能な価格変動から非適格投資家を保護するためと説明している。現時点では、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)の3銘柄が、非適格投資家の取引対象となる。
一方、適格投資家は、取引所および店頭(OTC)市場で取引されるあらゆる仮想通貨を制限なく購入できる。
また、仮想通貨の取引を行うにあたっては、投資家の属性に関わらず、すべての投資家に対して事前の適合性テストの実施および投資リスクに関する説明への同意が義務付けられる。
なお、今回示された内容はあくまで規制案であり、意見募集は8月24日まで行われる。
ウラジーミル・プーチン大統領は8月4日、「デジタル通貨およびデジタル権利に関する法律」(デジタル通貨法)に署名した。これにより、認可を受けた仲介業者を通じた個人投資家の仮想通貨購入から、取引所での売買、清算、デジタル保管機関(カストディ)まで、ロシア国内の仮想通貨市場を包括的に規制する法的枠組みが整備される。
ロシア中央銀行による今回の指示案公表は、この法律に基づき具体的な運用ルールを示したものだ。
デジタル通貨法では、ロシア国内で仮想通貨を商品・サービスの決済手段として利用することは、引き続き禁止される。また、仮想通貨による決済が可能であるかのような広告や情報発信も禁止対象となる。ただし、非居住者との貿易契約に基づく決済やマイニングで得た仮想通貨の使用、システム利用料の支払いなど、一部の例外は認められている。
法律の主要規定は2026年9月1日から施行される。
同法の成立を受け、ロシアの大手銀行では、仮想通貨取引に向けたインフラ整備が進められている。
ロシア最大手のスベルバンク(Sberbank)は、仮想通貨ウォレットとデジタル資産保管サービスの開発に取り組んでおり、2026年12月1日までに仮想通貨取引インフラを構築し、デジタル預託機関を立ち上げる計画だ。同機関は顧客の仮想通貨に対する権利の記録・管理や、大部分の決済をオフチェーンで処理する役割を担う。
大手民間銀行アルファ銀行(Alfa-Bank)は、仮想通貨の保管・管理に特化したデジタル預託機関を設立し、関連サービスを提供する計画を明らかにした。同行はこれに先立ち、自社の投資アプリを通じて、一部の適格投資家を対象に仮想通貨取引の試験運用を実施していた。
また、大手デジタル銀行のT-Bankは、モバイルアプリを通じた仮想通貨の売買、保管、残高照会サービスの提供を計画している。同行も仮想通貨対応のデジタル預託機関の立ち上げ構想を掲げており、ロシア金融当局からの認可取得を目指している。


