元CFTC(米商品先物取引委員会)委員長のクリス・ジャンカルロ氏は、米ポッドキャスト「The Wolf Of All Streets」のインタビューで、米議会で審議中のクラリティー法が成立しなくても暗号資産(仮想通貨)業界の技術革新は止まらないと語った。同氏は業界に対し、法案を過大評価しすぎないよう呼びかけた。
クラリティー法(デジタル資産市場構造法案)は2025年7月17日に下院を294対134で通過したが、上院銀行委員会の採決(15対9)から本会議採決に至らないまま停滞している。上院は8月10日から9月11日まで休会に入るため、審議に残された時間は1週間程度とみられる。
ジャンカルロ氏は、同法案が2025年成立のジーニアス法(ステーブルコイン規制法)と同様に、仮想通貨の取引を銀行秘密法の監視対象に含める点を問題視した。銀行秘密法は本来、資金洗浄対策を目的とするが、実際には広範な金融取引の監視につながっているとし、米国憲法修正第4条が保障する私的取引の秘匿権を侵害しかねないと述べた。
同法案の停滞について、トランプ政権周辺の倫理問題が原因との見方もあるが、ジャンカルロ氏はホワイトハウス側の「自らのゴール」だとしつつ、真の理由は別にあるとの見方を示した。民主党内で左派からの予備選挑戦を警戒する議員が多く、資金配分の主導権を政府から民間へ移すクラリティー法への抵抗が強いためだと分析した。
予測市場の規制権限についても言及した。カジノやスポーツブックは店側が価格(オッズ)を決める「小売業」であり州単位で規制されるが、予測市場は参加者自身が価格を決める「市場」であるため連邦規制の対象になるべきだと主張。配車サービスのウーバーが既存のタクシー業界の抵抗を乗り越えて普及した経緯と類似すると述べた。
同氏は、CFTCが2008年の金融危機で監督下の市場を1つも破綻させなかった実績を挙げ、同委員会の規制能力を強調した。最終的に最高裁まで争われる可能性があるとしつつ、「取引の両側を選べるか」という基準で予測市場は市場に該当し、連邦規制が妥当との判断に至るとの見方を示した。
CFTCは現在、2025年12月に就任したマイケル・セリグ委員長を含め5議席中1議席のみが在任する状態が続いている。ジャンカルロ氏はクラリティー法の成否に関わらずイノベーションは進むと述べた。同氏は、法案が不成立となれば構築を続けた企業とそうでない企業の差が広がるとの見方も示した。


