分散型レンディングプロトコル「アーベ(Aave)」のスタニ・クレチョフ創設者は30日、Aave V3において利用率が低下した特定の資産リザーブや、維持コストが収益を上回る6つのネットワークへの展開を段階的に廃止する計画を提案した。
資産の凍結や供給・借入上限の制限、リザーブファクター(借り手の支払う金利のうちプロトコルが徴収する割合)の引き上げを通じてユーザーに秩序ある撤退を促し、プロトコル全体の運用リスクを抑えることを目的としている。
この提案では、利用率の低い50の資産リザーブと満期を迎えた21のPendle PT(元本トークン)の廃止が推奨されている。資産リザーブとは、プロトコル上でユーザーがレンディングや借入、担保として利用できる、個別の銘柄(例えばUNIなど)ごとの資産プールのことだ。
さらに、Sonic、Scroll、zkSync、Metis、Soneium、Aptosという6つのブロックチェーンへのアーベのデプロイメント(導入)を段階的に終了させる案も提示している。
50の資産リザーブ廃止は、合計で供給資産(ユーザーが預けている資産)8,530万ドル(約137億円)、負債(ユーザーが借りている資産)1,150万ドル(約18億円)分に相当。また、6つのブロックチェーンへの展開終了では、供給資産1,280万ドル(約21億円)、負債410万ドル(約6.6億円)が削除される見込みだ。
対象となっているリザーブの一部では、すでに借り入れの停止、凍結、または供給・借入上限の制限が行われている。
また、廃止が予定されているブロックチェーン展開についても、リザーブファクターを99%に引き上げることで、ユーザーにポジションの解消を促す方針だ。
この提案は、現在議論されているところだが、コミュニティ投票を経て、最終的な意思決定が下されることになるとみられる。
今回の動きは、特定資産の問題への対処ではなく、アーベのポートフォリオ全体のリスクを削減するためのものだ。価格オラクル、清算インフラ、継続的なリスク監視といった運用上のコストに見合う活動が見られなくなったリザーブが削除の対象とされている。
また、ネイティブトークンと重複するブリッジ資産、利回りが発生しなくなった満期後のPendle PT、およびプロトコル収益が維持コストを賄えなくなった小規模なブロックチェーン展開も対象としている。
今回の見直しは、6月に提案されたアーベのリスク対応フレームワークに基づくものだ。
このフレームワークは、4月にKelpDAOのブリッジが攻撃され約2億9,200万ドル相当の資産が流出した事件を受けて導入された。この事件では裏付けのないrsETHトークンが大量に鋳造され、これを担保としてアーべから資産が不正に借り出された。
これによって、アーベは不良債権リスクを被り、預入残高(TVL)は、440億ドルから230億ドルに、アクティブローン残高は180億ドルから95億ドルに急落した。なお、DefiLlamaによると記事執筆時点でアーベのTVLは146億ドルとさらに低下している。
一方、英大手銀行スタンダードチャータードでデジタル資産リサーチグローバル責任者を務めるジェフリー・ケンドリック氏は6月、DeFiへの強気見解を背景にして、ネイティブトークンAAVEの2030年末目標価格を3,500ドルに設定した。


