ムーブメントブロックチェーンのコア開発企業であるムーブメントラボ(法人名:MVMT Labs)は7月15日付で、米デラウェア州連邦破産裁判所にチャプター11の適用を申請した。21日に公開された裁判所の記録で明らかになった。
チャプター11は事業継続を前提に負債を整理する米国の倒産手続きで、日本の民事再生法に相当する。申請書類によると、同社の資産は10万1ドルから50万ドル、負債は最大1,000万ドルとされ、債権者数は最大299名にのぼる。
最大の無担保債権者は共同創業者のルシ・マンチェ氏で、請求額は160万ドルを超える。マンチェ氏は同社株式の34.25%を保有しており、解任後にデラウェア州衡平法裁判所でムーブメントラボを提訴し、米司法省の大陪審捜査に関連する法的費用の立替払いを勝ち取った経緯がある。
その他の主な債権者には、デラウェア州歳入局(約45万9,000ドルの請求)、ムーブ・インダストリーズ、仮想通貨カストディ企業のアンカレッジ・デジタル、監査会社のオッターセックが含まれる。
ムーブメントラボはメタ(旧フェイスブック)が開発したMoveプログラミング言語を基盤とするイーサリアムレイヤー2ネットワーク「ムーブメント」の主要開発企業として、ポリチェーンが2024年4月に主導した3,800万ドルのシリーズAを含む数千万ドルの資金を調達していた。しかし2024年12月のMOVEトークン発行直後に不正疑惑が浮上し、経営は急速に悪化した。
問題の核心にあったのは、レンテックという実態不明の仲介業者がMOVEトークン6,600万(総供給量の約5%)の管理権限を握るマーケットメイク契約だった。これらのトークンは発行翌日に大量売却され、価格の急落を引き起こした。バイナンスとコインベースはその後、MOVEの取引を一時停止した。
コインデスクが昨年4月に報じた調査では、レンテックが中国系マーケットメーカーのウェブ3ポートと関連する契約を通じて関与していた疑いが浮かび上がった。ムーブメント財団はレンテックとウェブ3ポートの関係を把握していなかったとされるが、レンテック側は不正行為と虚偽表示を否定している。
一連の問題を受け、ムーブメントラボはマンチェ氏を2025年5月に解任した。ブロックチェーン開発業務の中心はその後、トラブ・トラビ氏率いる別法人のムーブ・インダストリーズへと移管された。
ムーブ・インダストリーズは2025年6月、イーサリアムレイヤー2競争からの撤退を発表し、新興市場向けの国際送金・ステーブルコイン決済に特化した独立型レイヤー1ブロックチェーンへの転換を打ち出した。同社は米国・カナダ・欧州連合で認可済みの決済インフラへのアクセスを確保したとしている。
なお、トラビ氏は21日、ムーブ・インダストリーズは今回の破産申請とは無関係と述べた。


