ウクライナ当局は、暗号資産(仮想通貨)両替所を装った詐欺ネットワークを摘発し、捜索の過程で2,000万フリヴニャ(約7,200万円)以上の現金を差し押さえた。ルスラン・クラフチェンコ検事総長が7月2日に発表した。
この組織は通貨・仮想通貨両替サービスを装ったものである。独自のウェブサイト、テレグラムチャンネル、申し込みシステム、物理的な拠点のネットワークを駆使し、正当な金融サービスであるかのように見せかけていた。
クラフチェンコ氏は、犯罪の証拠収集が行われている最中に、おとり捜査において、詐欺師らが5万フリヴニャ(約18万円)を不正に取得したとコメントしている。
顧客をだます手順としては、ウェブサイトで申し込みが行われると、まず会社の担当者が顧客に連絡を取る。担当者は申し込み番号、申し込み確認コード、両替拠点の住所、その他の詳細を伝える。
その後、顧客は指定された拠点を訪れて資金を預け入れるが、その資金が不正に流用される格好だ。顧客は形式的な説明を受けたり、手続きを先延ばしさせられたという。
捜査当局は今回の刑事捜査の一環として20回以上の家宅捜索を実施し、容疑者の自宅や拠点の施設を捜索した。組織は適切な認可なしに運営されており、資金を受け取った後は被害者との連絡を絶ったとも伝えられる。
現在、この詐欺グループへの関与が明らかになった人物に対して、容疑の告知(正式な捜査対象としての通知)を行う準備が進められている。捜査は現在も継続中だ。
ウクライナは欧州でも仮想通貨が普及している国の一つであり、チェイナリシスのデータによると、2024年半ばから2025年半ばにかけてウクライナが受け取った仮想通貨流入量は2,063億ドル(約33兆円)で、欧州第4位だ。
ウクライナでは、仮想通貨の包括的な規制法案が審議されているところである。キエフで6月に開催されたブロックチェーン関連カンファレンス「Incrypted Conference 2026」には当局の代表者が出席し、規制について議論した。
ウクライナ・デジタル変革省傘下のウクライナ・デジタル経済発展プロジェクト・オフィス主任弁護士であるドミトロ・ニコライエフスキー氏は、EU(欧州連合)の仮想通貨規制MiCAが施行された結果、サービスプロバイダーの数は減少していると指摘した。
デジタル変革省にとって最も重要なのは「市場が存在すること」であり、規制当局の姿勢が友好的であっても、法制度自体が市場育成を意図したものでなければ、市場は育たないのではないかとの見方を示している。
国会議員のヤロスラフ・ジェレズニャク氏は、EUの要請により、ウクライナの法制度をMiCAに適合させるための規定を一定程度盛り込む必要があると話した。ただし、ウクライナは現時点でEU未加入であるため、将来的にEUに加盟するまで、そうした規定の適用を先送りすることは可能だと主張する。
国家証券・株式市場委員会(NSSMC)のオレクシー・セメニュク委員長も、「MiCAよりも緩やかな規制を市場に適用するつもりだ」とコメントした。


