プライバシー特化型仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)の開発組織シールデッドラボの事務局長ジェイソン・マクギー氏は3日、ジーキャッシュコミュニティフォーラムへの投稿で、IronwoodネットワークアップグレードとZ3スタックへの移行という2つの大規模作業を現行スケジュールで同時完了することは困難との見解を示した。
マクギー氏は、延期を含む複数のリスク低減策を「検討する価値がある」と述べ、コミュニティに選択肢を提示した。
Ironwoodネットワークアップグレードと、既存ソフトウェアzcashdから新技術スタックZ3への移行という2つの大規模作業が現在並行して進んでいる。Z3スタックの主要コンポーネントであるザレット(Zallet)とザイノ(Zaino)はいまだ開発中で、本番環境への展開準備が整っていない。
マクギー氏は「マイニングプール・取引所・インフラパートナーがIronwood有効化前に展開・テストを完了するための時間が限られている」と指摘した。
Ironwoodは5月に発覚したOrchardプールの重大な脆弱性への対応として提案されたアップグレードだ。同脆弱性が悪用されれば、Orchardプール内で無制限のZEC偽造が検知されないまま行われる恐れがあった。
開発者らは悪用の証拠はないとしたが、Orchardのプライバシー特性上、偽造が行われなかったことを暗号学的に証明する手段がない。この脆弱性の開示をきっかけにZECは2日間で600ドル超から300ドル前後まで急落し、直近は460ドル前後まで回復している。
マクギー氏が提示した選択肢は3点だ。第1にIronwoodの有効化を延期してインフラパートナーの移行準備時間を確保する案、第2に本番適用前に独立した第三者によるセキュリティ監査を完了させる案、第3にIronwoodアップグレードとZ3移行を切り離し、追加時間が必要なパートナー向けに一時的なIronwood対応zcashdサポートを提供する案だ。
シールデッドラボはまた、IronwoodとZ3スタックの各コンポーネントについて、開発完了後・本番展開推奨前に独立した第三者によるセキュリティ監査を実施することを望むとの方針を明らかにした。マクギー氏は第3案について、シールデッドラボが現在開発中と述べた。
一方、Ironwoodの開発自体は前進している。ジーキャッシュ財団・プロジェクト・タキオン(Project Tachyon)・バラー・グループ(Valar Group)・ジーキャッシュ・オープン・デベロップメント・ラボ(ZODL)・シールデッドラボの各チームによるコンセンサスルール変更については、テストネットでの有効化が近日中に行われる見通しだ。新回路の形式検証も継続しており、Ironwood有効化前に健全性の証明完了を目指している。
シールデッドラボは、マクギー氏が依頼した外部リスク評価レポートを今週中にコア開発者と共有し、コミュニティへの公開も検討していると明らかにした。ジーキャッシュ創業者のゾーコ・ウィルコックス氏も同フォーラムで、各種手法でバグ探索を実施しているが深刻な新バグは発見されていないと述べた。


