米財務省傘下の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は5日、米国外に関わる仮想通貨ミキシングについて報告と記録の義務を金融機関に課す2023年10月の規則案を撤回すると明らかにした。連邦官報に掲載予定の通知で示され、6日付で正式に公表される予定だ。
ミキシングは、送金元・送金先・金額を分かりにくくする形で仮想通貨の取引を手助けする行為を指す。規則案は、資金の混合や取引の分割、使い捨てウォレットの利用などを例示していた。
同案は愛国者法に基づき、米国外に関わる仮想通貨ミキシングを「主要なマネーロンダリング懸念の取引類型」と認定した上で、金融機関に報告と記録の保存を課すものだった。
報告には移転額・仮想通貨の種類・利用したミキサー・顧客のウォレットアドレス・取引ハッシュ・取引日・IPアドレス・取引内容の説明を盛り込み、顧客の氏名・生年月日・住所・メールアドレスなどの記録も保管する内容だった。
FinCENは、規則案におけるミキシングの定義が広く、正当な活動を萎縮させかねない上、対象の金融機関に大きな報告負担を課すとの意見公募での懸念を踏まえて撤回したと説明した。一方で、不正行為者がミキサーなどを使って捜査を妨げ続けているとの認識は変わらないとした。
2025年7月の大統領デジタル資産市場作業部会の報告書は、トランプ政権が合法的なユーザーによる公開ブロックチェーン上での私的な取引を支持するとした。同報告書は、不正行為者がミキサーで資金を隠す一方、合法的なユーザーも金融プライバシーの確保に利用しうると指摘し、規則案への次の対応を財務省に検討するよう勧告していた。
さらに、同日には自己管理型ウォレットとの取引で本人確認(KYC)を求める2020年12月の規則案も撤回され、いずれも最終化されていなかったため、金融機関の既存の義務は変わらないという。
FinCENは、マネーロンダリングやテロ資金供与などの兆候を探るため仮想通貨ミキサーに関する活動を引き続き監視し、必要に応じて適切な措置を講じる可能性があると説明した。


