暗号資産(仮想通貨)イーサリアム関連の開発者であるクレメント・ルサエジュ氏は21日、バリデーターがステーキング報酬の最大10%を、エコシステムの公共インフラ開発のための資金に割り当てることを提案した。コミュニティからはすでに反論も上がっている。
ルサエジュ氏は提案の背景について、共有インフラの改善は全員に利益をもたらすものだが、フリーライダーは他人がその費用を支払うことを期待して、みずから進んで資金を提供しない状況があると述べた。
資金が集まらなければ、改善により本来なら生まれていたはずの価値や利益が生まれず、イーサリアムの長期的な競争力を弱めることになると訴えている。また、資金配分の仕組みがなければ、イーサリアム財団や篤志家だけに資金調達を依存する可能性もあり、持続的な解決策が求められるとする格好だ。
イーサリアム財団の元メンバーであるトレントン・ヴァン・エップス氏も18日、イーサリアム開発における資金調達面のリスクについて発言していた。
ルサエジュ氏は、各バリデーターが報酬の何%を共有インフラ開発に充当するかを表明することを提案した。51%以上のバリデーターが0%を超える資金(最大10%)を振り向けることに合意した場合、その拠出が全バリデーターにとって義務になるとしている。
また、バリデーターにとってもインセンティブがあると指摘。エコシステムが発展しネットワーク需要が増加することで、手数料としてバーン(焼却)されるETHも増加し、ETH価格の上昇・報酬価値の向上に結びつくことが期待されると述べた。
集まった資金をどのプロジェクトやアドレスに配布するかについては、各バリデーターが、資金充当先のプロジェクトやアドレス、そこに配分する割合を指定する民主的な方法を提案している。
一方で、リスクとしては51%のバリデーターが結託し、資金を自分たちに還元するように設定することで、残りの49%から報酬を実質的に「盗む」リスク、ステーキング業者がETHを保有する委任者の利益ではなく、業者自身の利益になるプロジェクトへの資金配分を優先する可能性などを挙げた。
ルサエジュ氏は、今回の提案は正解よりも、あえて完全ではない「誤った回答」を提示することで、資金不足に対処する必要性について議論を活発化させることにあるとしている。
提案に対しては、すでに著名なイーサリアム貢献者が反発しているところだ。例えば、匿名開発者のbanteg氏は、このメカニズムは「コンセンサス層(正しい取引履歴に合意するための仕組み)に政治を持ち込み」脆弱にする可能性があると主張した。
また、仮想通貨専門弁護士のガブリエル・シャピロ氏も同様の見解を示し、レイヤー1におけるいかなる「課税」も、強固なオンチェーンガバナンスを必要とすると指摘した。
イーサリアムには現在、徴収された資金を正当に活用するような仕組みやメカニズムが欠けており、提案を設計・推進する側と、資金を受け取る側が重なる可能性が高いという問題もあると意見している。


