JPモルガンのアナリストは11日、ビットコインと金を対象とした「通貨価値切り下げトレード」からの資金撤退が加速しているとのレポートを公開した。The Blockなどが内容を報じた。
通貨価値切り下げトレードとは、政府の財政赤字拡大・インフレ持続・地政学的リスクなどを背景に法定通貨の購買力低下を懸念した投資家が、供給量に上限のあるビットコインや金などの資産に資金を移す動きを指す。JPモルガンは2025年以降、この文脈でビットコインと金への資金流入を分析してきた。
金現物ETFは6月5日週に約200億ドルの流出を記録した。前週は小幅な流入だったが一転して大規模な流出に転じた。
ビットコイン現物ETFでも過去4週間にわたり流出が続いており、アナリストらは「個人・機関投資家の双方で通貨価値切り下げトレードからの幅広い撤退が起きている」と述べた。
機関投資家は先物市場でもエクスポージャーの削減を続けている。金の先物ポジションは2月下旬から継続的に低下した。ビットコインは中東紛争勃発後に通貨価値切り下げトレードの主役として先物流入が続いていたが、5月初旬に反転し、その後さらに後退したとアナリストらは指摘した。
非銀行投資家の株式・債券・現金に対するビットコインと金の配分比率も、2023年中頃から上昇を続けていたが、2025年3月以来の水準まで低下した。JPモルガンはビットコインの下落がETFと先物市場の流動性低下によって増幅されているとも分析した。
また、相関関係の変化も指摘された。ビットコインと米10年物実質国債利回りの相関が最近マイナスに転じており、金も今年初めに同様の動きを示している。アナリストらは、利回りを生まない資産を保有する機会費用が両資産を圧迫しているとみている。
一方、金とS&P500の相関がビットコインと株式の従来の正の相関に近づいており、両資産がポートフォリオの分散手段ではなくリスク資産として振る舞い始めているとした。
仮想通貨市場の下半期回復には、仮想通貨財務戦略を採る企業が優先株の配当支払い能力を示すことと、クラリティー法案の成立が条件になるとアナリストらは改めて指摘した。クラリティー法の年内成立確率については50%未満との見方を維持している。


