格付け会社のムーディーズ(Moody’s)は12日、資産トークン化がアメリカの取引フローに変化をもたらす一方、既存金融機関の役割が大きく失われる可能性は低いとの分析を公表した。今後数年でトークン化の活用が金融インフラのさまざまな領域に広がるものの、既存プレイヤーを完全に代替するには至らないとの見方を示している。
金融機関にとって、トークン化資産の拡大はオンチェーン決済需要の増大を意味する。その際の主要な決済手段として、ステーブルコイン、トークン化預金、トークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)の3種類が候補に挙げられており、どれが主流になるかが今後の焦点となると指摘した。
またアメリカでジーニアス法については、高品質な流動資産で裏付けられたペイメント型ステーブルコインの連邦規制枠組みを確立するものとして言及されている。
ムーディーズは今後の展開を「定常成長」「低成長」「急速成長」の3シナリオで分析した。最も可能性が高い「定常成長」シナリオでは、一部の資産でトークン化が規模拡大する一方、資産運用会社や銀行、インフラ提供者が中心的な役割を維持するとした。ステーブルコイン(銀行発行型を含む)やトークン化預金がオンチェーン決済の主要ツールになる見通しだ。
「低成長」シナリオでは、規制上の摩擦や法的課題、利用者側の需要不足から普及が限定的にとどまる。一方「急速成長」シナリオでは既存機関の仲介機能が脅かされる可能性を否定しないとしつつも、実現可能性は低いと位置づけている。それでも、この最悪ケースを戦略計画に組み込むことの重要性も強調した。


