ギャラクシー・デジタルは4月22日付のリサーチレポートで、米仮想通貨市場構造法「クラリティー法案」が2026年中に成立する確率を「約50%、あるいはそれ以下」と分析した。
予測市場ポリマーケットも同法案の成立確率を50%と見込んでおり、投資銀行TDカウエンのアナリスト、ジャレット・サイバーグ氏も「成立は可能だが、実現する確率は低いだろう」と悲観的な見解を示している。
上院銀行委員会の主要交渉者であるトム・ティリス議員は4月21日、採決を5月以降に先送りする方針を表明した。ギャラクシーの分析によれば、法案が大統領署名に至るには、上院銀行委員会での採決、上院本会議での60票以上の賛成、農業委員会版との統合、下院可決版との調整という5段階の手続きを順番に経る必要があり、8月10日の議会夏季休会までが事実上の期限となる。
クラリティー法案は2025年7月に下院を294対134の賛成多数で通過しており、民主党からも78名が賛成票を投じた。上院では1月以降、ステーブルコイン保有への報酬(利回り)をめぐる銀行業界と仮想通貨業界の対立が主な障壁となってきた。3月20日にティリス議員とアンジェラ・オルソブルックス議員が妥協案に原則合意し、4月10日にはコインベースのブライアン・アームストロングCEOが支持を表明したことで、この点は解消に向かっている。
ギャラクシーとTDカウエンが指摘する未解決論点の1つ目は、CFTCの委員不足だ。現在は委員長1名のみで運営されており、法案で拡大する権限を担う体制が整っていない。追加委員の指名・承認には数カ月を要するとサイバーグ氏は指摘する。
2つ目は、非カストディアル型ソフトウェア開発者を送金事業者の定義から除外するブロックチェーン規制明確化法(BRCA)の条項で、司法委員会や法執行機関から「捜査の盲点になる」として強い反発を受けている。
3つ目は倫理条項だ。トランプ大統領一家の仮想通貨関連事業からの収益(約14億ドル推定)をめぐり、民主党議員が政府高官の仮想通貨保有を制限する条項の盛り込みを要求している。
4つ目はSECの免除権限を制約しうる条項で、トークン化証券や現実資産に関するSECの柔軟な対応を損なうとして実務家や民主党議員が問題視している。そして、5つ目はSECの定足数問題で、5席中3席が共和党系のみで占められており、残り2席の民主党系委員の確定が、60票確保と政治的に連動している。
サイバーグ氏はこれらに加え、予測市場規制の抱き合わせ審議や、ホルムズ海峡における仮想通貨通航料問題を受けたマネーロンダリング対策条項の強化要求も障害要因に挙げた。民主党が法案を実質的に無力化しかねない修正案を提出するリスクがあると分析している。
ギャラクシーの分析では、5月上旬から中旬の委員会採決、その後5〜6月中の本会議採決が最も現実的なシナリオとされる。採決が5月中旬を過ぎると成立確率は急低下するとしており、シンシア・ラミス議員は「今年成立しなければ2030年以降まで遅れる可能性がある」と警告している。
今後の注視点は、ティリス議員によるステーブルコイン利回り妥協案テキストの公開、ティム・スコット委員長による採決日程の発表、委員会採決での賛否の内訳、そしてジョン・スーン上院多数党院内総務が7月4日前までに本会議時間を確保するかどうかの4点だ。これらが順次実現するかどうかが、法案の行方を決める。