ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」の正体をめぐっては、これまで数多くの仮説と憶測が飛び交い、調査報道やドキュメンタリー映画も数多く発表されてきたが、その真の姿は依然として謎に包まれている。
4月22日公開のドキュメンタリー映画「Finding Satoshi」(サトシを探して)は、制作者らが「21世紀最大の金融ミステリー」と呼ぶその謎に、初めて“決定的な答え”を導き出したと主張している。
この映画は、調査報道ジャーナリストのウィリアム・D・コーハン氏と私立探偵のタイラー・マロニー氏による、4年間にわたる綿密な証拠に基づく調査と、暗号資産(仮想通貨)業界の重要人物や著名人へのインタビューを通じて、ビットコインの起源を辿る。独自取材と、これまで未公開だった証拠の法医学的分析、そして20人以上へのインタビューを重ねた結果、制作者たちは独自の結論に達した。
インタビューに登場する主な人物は、いずれも錚々たる顔ぶれだ。以下に挙げる人物は、その一部にすぎない。
「誰がビットコインを作り、なぜ姿を消したのか」という謎の解明に挑む中、コーハン氏は、業界の大物関係者たちが往々にして、サトシ・ナカモトの正体を重要視せず、「無駄な問いだ」と一蹴する姿勢に驚きを覚えたと語る。
サトシ・ナカモトの正体を軽視する業界関係者たちの反応が、チームに私立探偵のマロニー氏を加え、調査をさらに深める契機となったとされる。チームは、特定の技術スキルを持ち、ビットコインの起源に初期から関わっていた少数の暗号技術者にターゲットを絞り込んだ。
この映画は、謎の考察にとどまらず、4年間にわたる調査を通じて、ビットコインの背後にいる人物として特定された像を、具体的な人物として提示している。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、本作が正しい答えにたどり着いたと確信していると述べた。また、『ビットコインの原理』(Principles of Bitcoin)の著者ヴィジャイ・セルヴァム氏は、本作をサトシ・ナカモトだけでなく、ビットコイン全般に関する最高のドキュメンタリーだと評している。
この映画はストリーミング配信も劇場公開もせず、制作側から直接視聴者に届ける形で、FindingSatoshi.comから独占公開される。この配信モデルは、ビットコインが掲げる「中央管理者不在・分散型」の思想を反映している。
サトシ・ナカモトの正体をめぐっては、4月8日に、ニューヨークタイムズ記者ジョン・キャレイロウ氏が1年間の調査結果をまとめた考察記事を発表。英国の暗号学者アダム・バック氏を有力候補として特定している。
また、カルダノの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は同日、「Finding Satoshi」と題する独自の動画を公開し、サトシ=アダム・バック説について、その人物の教育・文化的背景と技術的条件を詳しく解説した上で、「そうであっても驚かない」との見解を示した。
しかしホスキンソン氏は、最終的に「ビットコインに創設者がいないことは、極めて幸運だった」と強調している。プロトコルに創設者の顔が存在するということは、そのプロジェクトがその個人の評判に縛られることにつながるという。
ホスキンソン氏は自身の経験として、カルダノに対する好き嫌いが、自分の個人評価から由来していると指摘した上で、「カルダノはクラウドに生きているプロトコルであり、数千人のエンジニアが触れ、コードを書き、構築してきたものだ。それは私個人の功績でも罪でもない」と述べた。
ホスキンソン氏は、サトシの正体を暴くことはビットコインにとって有益ではなく、むしろプロトコルの信頼性を大きく損なう結果につながると総括した。