トランプ政権のデジタル資産大統領諮問委員会事務局長パトリック・ウィット氏は12日、ジーニアス法に準拠したステーブルコインが米銀行システムへの新規資本流入をもたらしうるとXへの投稿で主張し、利回り付与の是非を巡る議論に一石を投じた。
ウィット氏は「ドルへの世界的な需要は巨大だ。外国人が現地通貨を米国拠点の発行体が提供するステーブルコインに交換すれば、それは米銀行システムへの純新規資本となる」と説明。
また、ジーニアス法はステーブルコイン発行体による準備金の貸出・再担保利用を明示的に禁じており、ステーブルコインは銀行預金とは法的・構造的に別物であるとも強調している。3月12日時点のステーブルコイン市場規模は3,140億ドル超(DeFiLlamaデータ)に達している。
この発言は、ステーブルコインへの利回り付与の是非を巡る銀行業界と仮想通貨業界の対立を背景としている。JPモルガンCEOジェイミー・ダイモン氏は「残高に利息を払うなら銀行と同等の規制が必要だ」と主張し、米国銀行協会(ABA)も利回り型ステーブルコインが伝統的な銀行から預金を吸い上げると警告してきた。
この問題はクラリティー法(仮想通貨市場構造法案)の交渉において主要な障壁となっており、上院銀行委員会でのマークアップは延期された状態にある。
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ウィット氏の主張が正しければ、ステーブルコインは国内の預金を奪うのではなく、ドルを必要とする新興国・海外投資家が米銀行システムへアクセスする経路となり、ドルの基軸通貨としての地位強化にもつながる。一方、テキサス州独立銀行協会のクリストファー・ウィリストン会長は「地域銀行の流動性を損なうリスクがある」と反論しており、業界内でも見解は割れている。
トランプ大統領も3月初旬、「銀行は記録的な利益を上げているのに、仮想通貨アジェンダを阻んでいる。クラリティー法が成立しなければ、中国など他国に先を越される」と自身のトゥルース・ソーシャルに投稿し、銀行側の姿勢を批判した。ウィット氏もコミュニティバンクと仮想通貨業界の対立について「自分の家に火をつけようとしているようだ」と発言し、協調の必要性を訴えている。
ジーニアス法の成否がステーブルコイン利回りの扱いに直結するため、上院での審議再開に向けた銀行側・仮想通貨側双方の交渉が続く見通しだ。財務省は主要ステーブルコイン発行体と週次の実務協議を重ねており、立法化の枠組み作りを急いでいる。
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