米国証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)は11日、規制の共通領域における協調強化を目的とした覚書(MOU)に署名した。SECのポール・アトキンス委員長とCFTCのマイケル・セリグ委員長が署名し、両機関の連携を正式に制度化した。
今回のMOUは2018年に締結された旧覚書を更新するもので、仮想通貨を含む金融市場全体の規制調和を推進する内容となっている。
MOUおよび共同イニシアティブに基づく6重点領域として、商品定義の明確化、清算・証拠金・担保制度の近代化、二重登録業者の規制負担軽減、仮想通貨・新技術に対応した規制枠組みの整備、規制報告の効率化、そして監視・検査・執行の連携強化が定められている。
両機関はMOUと同時に「共同ハーモナイゼーション・イニシアティブ」も立ち上げた。SECのロバート・テプリー氏とCFTCのメーガン・テンテ氏が共同で主導し、政策立案・検査・執行の各機能にわたって具体的な協調を推進する。
さらに、これまで独立して行われていた執行措置についても、両機関のスタッフが定期的に会合を開き情報を事前に共有する。仮想通貨企業が両機関から二重に告発される事態を避けるため、潜在的な告発内容や救済措置、訴訟の順序、公的なコミュニケーション戦略に至るまで、行動前に協議することで合意している。これにより、米国における仮想通貨規制の執行プロセスが大幅に合理化され、不必要な法的コストや混乱の削減が期待される。
アトキンス委員長は「数十年にわたるSECとCFTCの縄張り争いが、重複登録の強制や異なる規制の並立を通じてイノベーションを阻害し、市場参加者を他国の管轄へ追いやってきた」と指摘。セリグ委員長も重複規制の排除と規制の空白解消に取り組む姿勢を示し、米国金融の「黄金時代」実現に向けた取り組みの一環と位置付けた。
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背景には、トランプ政権が掲げる「米国を世界の仮想通貨の中心地にする」という政策目標がある。両機関は2026年1月に共同で「プロジェクト・クリプト」を始動させており、今回のMOUはその制度的基盤を固めるものといえる。
議会では仮想通貨の市場構造を包括的に定めるクラリティ法の審議が続いているが、ステーブルコインの利回り条項やDeFi規制をめぐる対立から上院での調整が難航している。こうした立法の遅れを受け、両機関は議会の決定を待たずに行政レベルでの規制協調を先行させた形であり、市場参加者への早期の規制明確化を図る狙いがある。
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