米ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のメアリー・ケイ・ヴィスコシル判事が、3月3日付の命令で、仮想通貨貸付・取引企業ブロックフィルズ(BlockFills)に対し、ドミニオン・キャピタルに帰属するとされるビットコイン70.6 BTCの処分禁止と資産の国外移転禁止を命じる緊急差し止め命令(TRO)を発令したことが判明した。
ドミニオン・キャピタルは2月27日付の訴状で、ブロックフィルズが顧客資産を他の資金と混同・流用し、約7,500万ドル規模の損失を意図的に隠蔽したと主張している。
裁判所は「即時かつ回復不能な損害」のリスクを認定し、ブロックフィルズ側への事前通知なしに命令を発令した。同社は3月17日までに裁判所に対して反論を提出する必要があり、その期日までに差し止め命令は有効である。
コインポストが2月12日に報じた背景によると、ブロックフィルズはサスケハナ・プライベート・エクイティ・インベストメンツやCMEグループ・ベンチャーズなどの出資を受けるシカゴ拠点の機関投資家向け仮想通貨取引・融資企業だ。
2025年に600億ドル超の取引量を処理し、95カ国以上で約2000の機関顧客を抱えていたが、2月上旬に「市場・財務状況」を理由として顧客の入出金を停止、その後CEOのニコラス・ハマー氏も退任した。
関連: 米CME出資のブロックフィルズ、仮想通貨入出金を一時停止市場急落受け
法律・金融専門家からは、入出金の凍結と今回の資産凍結命令を受け、同社の事業継続性に対する懸念が広がっている。Coindeskの報道によると、破産・不良債権専門家のトーマス・ブラジール氏は、このような事態に至った後は主要機関が同プラットフォームを利用することは考えにくいとの見解を示しており、最終的に破産申請に至る可能性が高いと指摘している。
ドミニオン・キャピタルはビットファームズ(BITF)などのビットコイン・マイニング企業にも出資するニューヨーク拠点の民間投資会社で、同社のような機関投資家が直接訴訟に至ったことは業界に対してカウンターパーティリスクを改めて警告するものと見られる。
3月17日の差し止め命令期限が第一の焦点となり、ブロックフィルズが裁判所に対して反論を提出できるかどうかが今後の展開を左右する。
今回の訴訟は、2022年の「仮想通貨の冬」でFTXやセルシウスが入出金停止から破産申請へ至ったパターンと類似した展開を見せており、機関向け仮想通貨貸付・取引プラットフォームのリスク管理と顧客資産保護をめぐる議論を再燃させた。
関連: プライベート・クレジット市場に不透明感、仮想通貨市場への波及リスクは?


