暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比-4.5%の1BTC=72,500ドルで推移している。
背景には、トランプ大統領が1月30日にケビン・ウォーシュ氏を次期FRB議長に正式指名したことがある。指名発表前の反発基調から一転、72,000ドルから73,000ドル台まで下落し、安値圏に沈んでいる。
一時は、高騰していた金や銀といった伝統的なインフレヘッジ資産も総崩れとなり、ドル高と実質金利上昇への期待が強まったことでリスク資産全般から資金が流出した。
ビットコイン(BTC)は2025年末から2026年初のピークから40%超下落しており、マイニングの収益性悪化やAI・半導体セクターへの資金シフトに加え、ウォーシュ指名が売り圧力に拍車をかけた形だ。
ウォーシュ氏は過去に投資歴もあるビットコイン肯定派として知られる。しかし市場はFRB政策面でのタカ派姿勢に注目し、利下げペースの鈍化や高金利の長期化を警戒している。
10x Research創設者のマーカス・ティーレン氏らは、ウォーシュ氏の金融規律重視や高い実質金利志向、流動性縮小の主張が「緩和撤回で投機的過剰分が消失するシナリオにつながる」可能性を指摘。特にウォーシュ氏は過去に量的緩和(QE)を批判しており、トランプ氏が期待する「大幅利下げ」とは対照的な姿勢を示してきた。
このため市場は、FRBのタカ派路線復活のシグナルと受け止め、リスク資産離れを加速させたとみられる。
1BTC=69,000ドル水準は、意識されやすいサポートライン(下値支持線)の一つと言える。21年11月に記録した前強気相場サイクルの最高値であり、24年11月の米国大統領選を皮切りに始まった”トランプ相場”の起点でもあるからだ。
アルトコインはより厳しい市況にある。時価総額2位のイーサリアム(ETH)は続落し、前日比5%安の2,100ドル水準に達した。これは投資家の平均取得原価である実現価格2,310ドルを下回る水準だ。歴史的に実現価格は市場の下落局面におけるサポートレベルとして機能するが、それを下回る動きが続くと投げ売りにつながることが多い。
小口投資家から大口投資家まで様々な規模のウォレットで同様の傾向が見られ、100から1万ETHを保有する小売層は過去7日間で60万ETH以上を売却したとみられる。
イーサリアム関連企業Bitmineも大きな影響を受けている。Lookonchainによると、同社は水曜日時点で保有する428万ETHに対し約70億ドルの未実現損失を抱えている。この巨額損失は仮想通貨コミュニティで議論を呼んでおり、一部ではビットマインが保有資産を売却しETH価格に上限を設けるとの見方も出ている。
これに対しビットマイン会長のトーマス・リー氏は、同社がETH価格を追跡し市場サイクルを通じてそれを上回るパフォーマンスを目指していると反論。市場低迷時に損失を被るインデックスETFを例に挙げ、「未実現損失はバグではなく機能だ」と述べた。コイングラスのデータでは、ETHは過去24時間で2億2,850万ドルの先物清算があり、うち1億3,720万ドルがロングポジションの清算だった。
一方、ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏は、ビットコイン価格の急落にもかかわらずビットコイン現物ETFへの関心は依然として高いと指摘した。バルチュナス氏は、特にブラックロックのiShares Bitcoin Trust(IBIT)のパフォーマンスを強調し、運用資産が一時1,000億ドルのピークから最近の下落で600億ドルに減少したものの、ローンチからわずか500日程度のETFとしては驚異的な数字だと述べた。
注目すべきは、ビットコインETFから撤退した資産総額がわずか6%程度で、投資家の94%がポジションを維持している点だ。価格が約40%急落し多くの投資家が含み損を抱えているにもかかわらず、ETF投資家の大多数がポジション維持を選択したという事実は、投資家の長期的な投資姿勢が力強いことを示している。
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