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イーサリアムのハッキング「TheDAO事件」から10年、未請求資金が320億円セキュリティ基金に

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2016年、イーサリアム( ETH )の歴史を揺るがした「TheDAO事件」。あれから10年の時を経て、かつての負の遺産は、まさに「どんでん返し」とも言える結末を迎え、イーサリアムの新たな章が幕を開けようとしている。

事件の発生後、長年未請求のまま眠り続けていた回収資金75,000ETH超を活用し、新たに「TheDAOセキュリティ基金」が創設される。

TheDAO事件とは、イーサリアム上の分散型投資ファンド「TheDAO」がスマートコントラクトの脆弱性を突かれ、集められた資金の3分の1にあたる364万ETHが流出したハッキング事件である。当時史上最大のICO(約1億5,000万ドルを調達)となったTheDAOには、ETH総量(当時)の約14%が集まっていた。

イーサリアムコミュニティだけではなく仮想通貨業界に大きな衝撃を与えたこの事件は、ホワイトハッカーチームの尽力により、短期間で資金凍結に成功。その間、ハードフォークを行うことで、時計の針を巻き戻し、不正送金前の状態に還すことで事態は収束に向かった。一方で、コミュニティは、「ハードフォークがブロックチェーンの不変性・分散型理念を破壊する」として反対し、オリジナルチェーンを継承したイーサリアム・クラシック(ETC)と現在のイーサリアム(ETH)に分裂することとなった。

ハッキングで盗まれた資金は救済用コントラクトへ移動され、当時、投資家の多くはETHを取り戻した。しかし、投資家が引き出さなかった未請求の余剰資金(約70,500 ETH)と権利者が不明な「TheDAO Curator Multisig」内のETHやDAOトークン(約4,600ETH相当)は、今日まで未請求のままとなっている。

このようなエッジケースに対応するため、当時イーサリアムコミュニティの主要メンバーに管理者としての追加の権限が付与され、2017年1月31日以降、請求されなかったETHは「スマートコントラクトのセキュリティ強化を支援する非営利団体」に送られることが決定された。

そして、今回当初の意図であり、長期間放置されていた資金をイーサリアムのセキュリティ強化に活用するために、TheDAOセキュリティ基金が設立されるに至った。

なお、事件から10年が経過しようとする現在、TheDAOセキュリティ基金の原資となる未請求資金の価値は、TheDAOが当初調達した金額をはるかに上回っている。

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TheDAOセキュリティ基金の創設に携わったグリフ・グリーン氏は、TheDAOプロジェクトにコミュニティ・マネージャーとして参加し、事件後、被害資金の回収に貢献したキュレーター(管理人)の一人だ。イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏とともに、今後、新たなキュレーターチームの一員として、基金を運営する。

グリーン氏によると、TheDAOセキュリティ基金は、以下の2つの資金源からETHを管理する。

このうち69,420 ETH(主にExtraBalance由来)をステーキングし、利回りを創出するエンダウメント(永久基金)を形成する。このステーキング報酬と4,600 ETHをイーサリアムのセキュリティ施策に充当させるが、セキュリティ基金の運営資金として、年間約800万ドル(約12億円)の収益が期待されている。

また、ExtraBalanceの出金コントラクトには、一部のETHを残し、請求があった際に対応できるようにするという。

グリーン氏は、この新たなセキュリティ基金は、イーサリアム財団の「Trillion Dollar Security(1兆ドル規模のセキュリティ)イニシアチブ」の一部であると指摘。このイニシアチブが特定した「最大のインパクトをもたらす機会」に資金を提供する。ウォレットのユーザー体験向上やスマートコントラクト、インシデント対応やプロトコルのセキュリティなど、イーサリアムとL2エコシステムの安全性を高める取り組みが、資金提供の対象となる。

イーサリアム財団は昨年5月、インターネットや世界経済を安全に支えることができる「文明規模のインフラ」となることを目標に掲げた。この実現には、数十億のユーザーが資産を管理し、機関投資家が1兆ドル規模の資金をハッキングやバグの懸念なくスマートコントラクトに預けられる、絶対的な堅牢性が不可欠となる。この未来を確かなものにするための基盤として、セキュリティを抜本的にアップグレードしていく計画が「Trillion Dollar Security」イニシアチブである。

TheDAOセキュリティ基金の設立により、イーサリアムはこの目標に向けた大きな一歩を踏み出すことになる。

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