米資産運用大手フィデリティのグローバルマクロ責任者ジュリアン・ティマー氏は、ビットコイン( BTC )の4年サイクルの強気局面が終わる可能性があると指摘した。同氏はXへの投稿で、長期的な強気姿勢を維持しながらも2026年は調整の年になり得るとの見方を示した。
ビットコインの4年サイクル(周期)論は、約4年ごとに訪れる半減期に紐づいた価格パターンを指す。半減期ではマイニング報酬が半分になり新規供給が減少するため、需要が維持されれば価格が上昇しやすい。2024年4月の最新の半減期では報酬が6.25BTCから3.125BTCに減少した。
ティマー氏は過去の強気相場を視覚的に並べた結果、145カ月の上昇後に10月に記録した12.5万ドルの高値が従来のサイクル通りの展開だったと分析した。過去のビットコインの冬相場は約1年続くことから、2026年は休息の年となる可能性があり、サポートラインは6.5万ドルから7.5万ドルと予測している。
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一方で、ビットワイズのマット・ホーガン最高投資責任者は対照的な見方を示した。同氏は半減期や金利サイクル、レバレッジ主導の急騰と暴落といった従来のサイクルを動かしてきた要因が大幅に弱まっており、ビットコインが歴史的な4年サイクルに反して2026年に新たな過去最高値を更新する可能性が高いと主張し、トランプ政権下での仮想通貨寄りの規制転換を受けてモルガン・スタンレーやウェルズ・ファーゴなどの機関投資家の配分が始まっていると説明した。
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グレースケールも最新のレポートで2026年が明確な4年サイクルの終わりを示すと記述し、サイクル論自体が適用されなくなるとの見方を示している。
サイクル論の終焉を予測する背景には機関投資家の参入がある。2024年のビットコイン現物上場投資信託(ETF)承認で始まった機関資金の流入により、市場が成熟し半減期による供給ショックの影響が薄れている。ブラックロックを筆頭とする11社のETFプロバイダーは合計で約1,500億ドルのビットコインを保有し、企業の財務保有分は100万BTC以上で総額960億ドルを超える。
また、グレースケールは、法定通貨の価値低下リスクが高まる限りビットコインへの需要は継続すると指摘した。CZ氏やアーク・インベストのキャシー・ウッド氏も機関投資家の参入により従来のサイクルが崩れると予想している。
ビットコインはリスク資産からデジタルゴールドへ移行しつつあり、今後の価格はETF流入や規制、世界経済の影響をより強く受けるとの見方が広がっている。
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