ブルームバーグによると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は7日、仏経済紙レゼコーのインタビューで、米国における仮想通貨資産とステーブルコインの規制緩和が進んでいることについて警告を発した。
マクロン氏は「米国の仮想通貨資産とステーブルコインの規制緩和の拡大が、無視できない金融不安定化の可能性を生み出している」と述べた。ステーブルコインが米ドル資産に依存していることから、米国が仮想通貨の成長を過度に自由化すれば、リスクが世界的に波及する恐れがあると指摘した。
また、マクロン氏は欧州中央銀行(ECB)に対し、新たな金融リスクに対応するため金融政策の見直しを求めた。欧州が通貨面で「主権」を保ち続けるべきだと主張し、EUは米国の規制緩和路線に追随すべきではないとの見解を示した。
現在、世界のステーブルコイン市場は最近約50%急増し、3000億ドル(約45兆円)を超えている。
米ドル建てステーブルコインに対する欧州の警戒は今回が初めてではない。
11月には、オランダ中央銀行のオラフ・スライペン総裁兼ECB理事会メンバーが「ステーブルコインが現在のペースで拡大し続ければ、いずれシステム上重要な存在になる」と警告し、大規模な償還が発生した場合、ECBは金融政策の見直しを余儀なくされる可能性があると指摘した。
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また、4月にはECB理事会メンバーのピエロ・チポローネ氏が、米ドル建てステーブルコインの普及拡大が欧州の金融安定と戦略的自律性を脅かす可能性があると警告し、デジタルユーロの導入が欧州圏の金融主権を維持するために役立つと主張した。
トランプ政権下で米国が仮想通貨規制の大幅な緩和を進める中、欧州当局は米ドル建てステーブルコインの拡大が欧州の金融主権と通貨安定性に与える影響への懸念を強めているとみらされる。
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