ブルームバーグは12月3日、米証券取引委員会(SEC)が株式、商品、仮想通貨の日次リターンを3倍または5倍に増幅するETFの導入を事実上阻止したと報じた。SECは火曜日、ダイレクション、プロシェアーズ、タイダルなどの運用会社に対し、ほぼ同一の警告書簡9通を発行した。
SECの懸念の中心は、これらのファンドのリスクエクスポージャーが、ファンド資産に対して許容されるリスク上限を超える可能性がある点だ。書簡は運用会社に対し、投資戦略の修正または申請の正式な取り下げを求めている。これを受け、水曜日にはプロシェアーズが3倍レバレッジ仮想通貨商品を含む複数の申請を取り下げた。
SECは全9社への書簡で、原資産インデックスまたは証券に対して200%(3倍)を超えるレバレッジエクスポージャーを提供するETFの登録について懸念を表明した。現行のSEC規則では、単一株式ETFのレバレッジは事実上2倍に制限されており、米国内に3倍または5倍の単一株式ETFは存在しない。
今回審査対象となったファンドの一部は、ボラティリティ・シェアーズが申請した5倍レバレッジETFだ。テスラやエヌビディアなどの個別株、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の日次リターンを増幅する設計だった。
レバレッジ商品はオプションを使用してリターンを増幅し、短期間で大きな利益を得られるためトレーダーに人気がある。パンデミック以降、取引量は急増し、運用資産は1,620億ドルに達した。
ただし批判も多く、リスクが高く不透明な商品で素人投資家を誘惑しているとの指摘がある。欧州では10月、グラニットシェアーズの3倍ショートAMD ETFがAMD株の急騰で価値を失い閉鎖された。
SECの投資運用部門が警告書簡を公開したのは異例の迅速な対応で、規制当局が懸念を早急に伝えたい意向を示唆している。
ロイターによると、マイケル・セイラー率いるストラテジーに連動するレバレッジETFが今年のビットコイン下落で大きな打撃を受けている。2倍のリターンを提供するT-レックス2XロングMSTRデイリー・ターゲットETFとディファイアンス・デイリー・ターゲット2XロングMSTR ETFは、2025年に入り約85%の価値を失った。一方で、ストラテジーの株価は今年35%以上下落している。
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