オンチェーン分析企業Glassnodeは26日に最新の週次レポートを発表。暗号資産(仮想通貨)ビットコイン( BTC )の需要は依然として低迷しており、新たな資金流入が回復するまで、市場は横ばいになる可能性が高いと分析している。
主要なコストベース(取得価格)のサポートラインを下抜けた後、ビットコインは8万1,000ドルから8万9,000ドルの不安定なレンジで推移していると指摘した。なお、記事執筆時現在、ビットコインは約9万ドルだ。
Glassnodeによると、オンチェーンデータはストレスの高まりを示している。短期保有者の実現利益と実現損失を比較したSTH実現損益比率を見ると、10月初旬に中立的な平均値(4.3倍)を下回り、現在は0.07倍まで低下している。
Glassnodeは、この比率が低迷し続ければ、市場環境はトゥルー・マーケットミーン(TMM)である約8万1,000ドルを下回るリスクが高まると述べた。
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一方で、長期保有者の実現損益比率は、7日移動平均線がビットコイン現物価格の下落にともない、408倍まで急落。約100倍を超える水準での取引は、過去の底値局面と比較して、依然として流動性状況が健全であることを示している。
長期保有者は引き続き、損失ではなく利益を実現している状態だ。ただし、Glassnodeは、流動性が低下し続け、この比率が10倍以下になった場合は、より深刻な弱気相場に移行する可能性が浮上するとしている。
オプション市場での権利行使価格の分布を見ると、プット(売却)オプションは8万4,000ドル付近に集中し、コール(購入)オプションは10万ドル付近に多い。このレンジ内で急激な変動が生じる余地が生まれている。
Glassnodeは、今後数週間は上昇幅が限定的になる一方で、下落リスクは完全には払拭されていないことを示唆すると分析した。最近反発があったものの、主要な抵抗線を下回る局面で苦戦を続ける可能性があると続けている。
また、インプライドボラティリティ(トレーダーが織り込んでいる今後の価格変動)も上昇しており、12月の満期に向けて市場がボラティリティ(価格変動)に備えようとしていることが示唆される。
Glassnodeは、今後のビットコイン価格上昇を前提とした資金フローは引き続き縮小しているが、反対に、下落リスクへ備えるフローは安定しつつあると指摘した。
ビットコインは完全な投げ売り状態に陥っているわけではないものの、流動性が低く、確信度の低い環境が続いていると分析。価格が主要なコストベース水準を回復し、新たな需要が回復するまでは、市場はディフェンシブに動き、狭いレンジで推移する可能性が高いとしている。
一方、K33リサーチは25日の最新レポートで、ビットコインは感情主導の売られすぎであり、長期目線の投資家にとって魅力的な買い場だとの独自見解を示した。
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