国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は引き続き下値を模索する展開。21日正午時点で、1300万円中盤で推移している。
20日朝方のエヌビディアの決算を控え、今週は警戒ムードが強まり、週明のBTC円は1480万円から弱含みに推移。18日にはシカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物が7カ月越しの窓埋めを達成したが、その後も弱地合いが続き、1400万円まで下落した。
18日の海外時間からは、自律反発の様相となり、ADPが発表した雇用指標が弱かったことで、一時は1450万円まで上昇したが、AIバブル懸念から上値を圧迫されると、19日には再び1400万円割れを試した。
今週の目玉材料となったエヌビディアの決算は、営業利益や業績見通しが市場予想を上回り、1450万円を回復したが、9月の米雇用統計が強弱まちまちな内容となると、リスク資産の売りが加速し、BTCも1400万円を下抜け安値を切り下げた。
遅延していた米国の経済指標の発表によって下落の流れが変わるか注目していたが、9月の雇用統計は失業率が4.4%と2021年10月ぶりの高水準となったものの、月間の雇用者数は市場予想の倍以上となった。
これを受けてFF金利先物市場では12月利下げの確率が若干ながら上昇したものの、米株や暗号資産(仮想通貨)は強めに出た雇用者数に反応する形で売りが加速した。
また、米労働省は現在も延期されている10月の雇用統計について、失業率などを除いた雇用者数のデータのみを集計するとした上、11月分のデータと共に12月16日に公表することを明かした。
来月のFOMCが9日〜10日に開催されることから、政府機関閉鎖によるデータ不足は、会合時点で解消されないこととなり、強弱まちまちとなった9月の雇用統計が見通しの悪さを一層助長させたとも言えよう。
そんなFOMCの10月会合の議事要旨では、12月の金利据え置きを多くの参加者が支持していたことが明らかとなった。加えて、会合参加者もやはり政府機関閉鎖による情報の非対称性によって、政策判断が困難になっていることを危惧しており、12月の金利据え置きは現実味を増すこととなっている。
先週も指摘の通り、BTCはオンチェーンの需給の指標ではかなり売られ過ぎとなっているが、今週は日足の相対力指数(RSI)からも売られ過ぎのサインが点灯しているにも関わらず、下げ止まることができなかった。
エヌビディアの好決算を受けて、直後はAIバブルへの懸念が後退したように見えたが、想定以上に懸念が根強いからか、少しでも悪材料があると売りが出るほど米株式市場も地合いが悪いと言える。
ナスダックは20日の下落で大陰線を記録し、弱気の包み足が出現しており、更なる下落には注意が必要か。先週も指摘の通り、BTCの復調は米ハイテク株次第と言え、エヌビディアの好決算でも流れを変えられないのであれば、依然としてアク抜けしたとは言えないだろう。
とは言え、AIバブル懸念の種となっている関連企業間での循環取引的な過剰投資が実際に「過剰」なのかは現時点では誰にもわからない。ナスダックもRSIが30%台に落ち込んできており、案外、売りが出尽くしとなるのも目先の話かもしれない。
ただ、反転前の下落は急激なクラッシュとなる可能性もあることから、BTCも大幅な下落には引き続き気をつけておきたい。
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