11月20日(米東部時間)、米国ビットコイン現物ETF(上場投資信託)市場は合計9億300万ドル(約1,395億円)の純流出を記録し、史上2番目の規模となった。
ビットコイン価格の急落やFRBの12月利下げ期待後退を背景に、リスク資産からの資金流出が加速しているとみられる。11月13日(8億7,000万ドル)と20日(9億300万ドル)の1週間で、過去最大級の流出が2度発生する格好となった。
史上最大の流出は2月25日の9億3,700万ドルである。
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単日の純流出額が最も多かったのはブラックロックの「IBIT」で3億5,600万ドル(約550億円)、次いでグレースケールの「GBTC」が1億9,900万ドル(約307億円)、フィデリティの「FBTC」が1億9,000万ドル(約293億円)となり、主要3ファンドで流出全体の大部分を占めた。
同日、全てのビットコイン現物ETFで純流入を記録したファンドはゼロという異例の事態となり、投資家のリスク回避姿勢が顕著に表れた。
専門家は、この大規模な資金流出の背景にいくつかの要因を指摘している。まず、ビットコイン価格が10月初旬に記録した史上最高値の12万6,080ドル(約1,947万円)から急落し、11月21日には8万5,000ドル(約1,313万円)台まで下落したことで、投資家の利益確定売りが加速した。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)による12月の利下げ期待が後退したことも、リスク資産からの資金流出を促進する要因となった(CNBC報道を一部引用)。
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米国政府機関の長期閉鎖による流動性の減少や、マクロ経済の不確実性の高まりも、機関投資家の慎重姿勢を強めている。クロノス・リサーチのビンセント・リウ最高投資責任者は「記録的なIBIT流出は、機関投資家による資本配分の見直しを示しており、完全な撤退ではなく、マクロ経済のシグナルが明確になるまでリスクを縮小している段階だ」と分析している。
なお、20日に発表された9月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が11万9,000人増加し、予想の5万3,000人を大きく上回ったが、失業率は4.4%に上昇した。
政府機関閉鎖の終了に伴い今後経済指標の発表が再開される中、これらのデータがFRBの金融政策判断にどのような影響を与えるかが注目される。
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