CMEグループとFanDuel、仮想通貨や株価指数などの予測市場アプリを12月に開始
最大手デリバティブ取引所運営会社のCMEグループとオンラインゲーム会社FanDuelは12日、新たな予測市場プラットフォーム「FanDuel Predicts」を12月に開始すると発表した。
FanDuelは、Flutter Entertainment傘下の企業で、モバイルベッティング(賭博)分野において米国を代表する事業者である。
同アプリでは、S&P 500やナスダック100などの株価指数、原油・天然ガス・金などの商品、仮想通貨、GDP・CPIなどの経済指標に関するイベント契約の取引が可能となる。
ユーザー向けにはリスク管理や支出追跡などの取引ツールのほか、予測市場に関する教育リソースが提供される。ユーザーは入金制限の設定や自己排除機能を利用できる。
自己排除機能とは、ユーザーが自らアカウントへのアクセスを一時的または永久的に制限する仕組み。ギャンブル依存症を防ぐための機能であり、ログイン、入金、取引などの操作をブロックすることができる。
FanDuelは米国の大手オンラインゲーム企業で、スポーツベッティング、カジノ、競馬ベッティング、デイリーファンタジースポーツなどを運営しており、全米50州に約1,700万人の顧客を抱える。
CMEグループは世界最大のデリバティブ取引所運営会社で、金利、株価指数、外国為替、仮想通貨、エネルギー、農産物、金属など主要資産クラス全般にわたる先物・オプション取引を提供している。
両社の提携では、FanDuelの顧客向けモバイル技術と、CMEグループが持つデリバティブおよびリスク管理の専門知識を組み合わせる。
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ここ最近、予測市場は急速に成長している。
報告書によると、分散型予測市場産業は2035年までに955億ドル(約14兆円)規模に達し、年平均成長率は46.8%になると予測されている。スポーツイベントや政治関連の契約が取引高の大部分を占めている。
現在、カルシとポリマーケットの2大プラットフォームが市場を主導している。2025年10月には、カルシが44億ドル(約6,600億円)、ポリマーケットが30億ドル(約4,500億円)の月間取引高を記録した。
予測市場の成長に伴い、従来の金融・ゲーミング大手も相次いで参入している。証券取引アプリのロビンフッドはカルシと提携して予測市場サービスを展開している。大手スポーツベッティング企業のドラフトキングスもCFTC規制下の取引プラットフォームを買収し、年内のサービス開始を予定している。
今回のFanDuelとCMEグループの提携も、こうした業界動向の一環といえる。
グローバルで急成長する予測市場だが、日本市場への参入は法規制の観点から困難な状況だ。
予測市場のイベント契約である選挙結果やスポーツの勝敗の賭け事は「偶然の勝負事」に金銭を賭ける行為と見なされやすく、違法化のリスクがある。海外プラットフォーム(Polymarketなど)を日本ユーザーが利用することもグレーゾーンであり、アクセス制限や法的リスクを伴うとの見解もある。
一方、国内上場企業のgumiは2025年10月、子会社gC Labsを通じて予測市場サービスの事業化検討を開始した。日本版「Polymarket」として、ゲーム要素を加えることで法的コンプライアンスを確保する方針だ。
これは「賭博法」解釈の壁を越える試みだが、実現には法改正や金融庁によるガイドライン明確化が不可欠となる。業界では、Web3技術の革新として期待される一方、法環境整備の難しさが指摘されている。
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