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トロンの将来性は?ステーブルコイン決済に選ばれる理由

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TRON(トロン)は、2017年にジャスティン・サン氏によって創設されたブロックチェーンプラットフォームだ。イーサリアムやビットコインと比べて日本での知名度は高くないが、特にアジア、南米、アフリカなどの新興国市場において、ステーブルコイン決済・送金インフラとして急速に拡大している。

実際の利用実績では世界トップクラスのネットワークとして機能しており、特にUSDT(テザー)取引の多くがトロン上で行われ、日常的な送金や決済手段として活用されている。

では、なぜトロンはこれほど使われているのか。そして、その将来性をどう評価すべきか。本記事で詳しく見ていく。

ブロックチェーンの価値を測る指標として「取引件数」「取引額」「手数料収入」がある。これらはネットワークがどれほど実際に使われているかを示す経済活動量といえる。

トロンの利用実績は以下の通りだ:

2025年9月には、USDT取引においてイーサリアム(ETH)とトロンの2チェーンが全取引量の約64%(約7,720億ドル)を処理している。なかでもTRONは低コストかつ高速処理という特性から、新興国におけるステーブルコイン決済の主要ネットワークとして機能している。

トロンの特徴は、個人による日常的な送金・決済利用が中心という点だ:

トロンがステーブルコイン送金の主要インフラとして選ばれる理由は3つある。

暗号資産決済プラットフォームUQUIDの2025年上半期データによると、同プラットフォーム内のステーブルコイン決済において、地域別でトロンチェーンが使われた割合は以下の通りだ:

新興国市場においてトロンがステーブルコイン決済の主要インフラとして選ばれている傾向がある。

また、利用者の増加に伴い、対応店舗も増える好循環が生まれている。実際の展開事例として、東南アジアでは小売大手イオングループの決済サービス「AEON Pay」が、トロンと提携し、約2,000万店舗・1万ブランド規模でTRX、USDT、USDDによる決済を可能にしている。トロンは、オンライン送金に加え、実店舗での日常決済にも広がりを見せている。

トロンが選ばれる最大の理由は、圧倒的な低コストだ:

この低コスト構造により、従来は割に合わなかった少額送金が現実的になった。実際に取引の約60%が1,000ドル未満の小口送金となっており、新興国における銀行口座を持たない層(アンバンクト)への金融アクセス手段として機能している。

トロンは早期から大手取引所の支持を獲得してきた:

この影響力が、トロンをステーブルコイン送金のデファクトスタンダードへと押し上げる要因となった。

アナリストの間では、ブロックチェーンのバリュエーションを測る際に「P/F比(Price to Fees)」という指標が使われる。これは株式市場で言う「PER(株価収益率)」のようなもので、ネットワーク価値(トークンの時価総額)を、ネットワークが実際に稼いでいる手数料収入で割った数値だ。

主要ブロックチェーンのP/F比

トロンのP/F比は約10倍にとどまっておりそれ以下の収益の他チェーンが数百倍で取引されていることを考えると、利用実態に対して評価が追いついていない=割安に放置されている可能性が高いという見方ができる。

送金インフラとしての地位を確立する一方で、トロン上ではDeFi(分散型金融)も成長している。トロンチェーンはTVL(預かり総資産)58億ドルを誇り、全ブロックチェーン5位に位置している。

ただし、USDT流通量(約770億ドル、全体の42%)に比してTVLは小さい。つまり、資産をロックして運用するのではなく、日々の経済活動で実際に使われていると言えるだろう。

トロンの成長を後押しするのが、ステーブルコイン市場全体の急拡大だ。ステーブルコイン市場は以下のように成長している。

ステーブルコインは投機的なトークンから実用的な金融インフラへと進化しており、今後も成長が見込まれる。

関連: トロン(TRX)とは?将来性、買い方・おすすめ取引所

トロンは複数の施策を通じて、さらなる成長と普及拡大を目指している。手数料面では、特定の取引条件下でのゼロ手数料施策を拡大し、新興国市場での利用障壁を一段と引き下げている。

また、トロン独自の分散型ステーブルコインUSDDのエコシステム拡大も進行中だ。USDDは、メンバー機関がTRXをステーキング・バーンすることで等価のUSDDを発行する仕組みで、USDTなどの主要ステーブルコインによる過剰担保モデルも採用している。このメカニズムにより、TRX供給量を減らしながらステーブルコイン流通を増やす持続可能なトークン経済を構築している。

さらに2025年には、PayPal USD(PYUSD)のトロン展開や、メタマスクのネイティブサポートを実現。これにより数千万人規模の新規ユーザーがトロンネットワークに直接アクセス可能になった。

加えて、米国商務省がGDPデータ記録のブロックチェーンとしてトロンを選定し、ネットワークの実用性と透明性が制度的にも評価されている。

こうした一連の取り組みにより、トロンは新興国市場での実需基盤を拡大しつつ、主要プラットフォームとの連携を深めることで、グローバルなステーブルコイン決済インフラとしての地位を確立しつつある。

トロンの強みは以下の3点に集約される:

こうした実需を基盤としたネットワーク利用が拡大する一方で、トロンの評価水準には再評価の余地があるといえる。

「日々の利用が積み上がるブロックチェーン」——それがトロンの強みであり、将来性の根拠でもある。投機的なネットワークではなく、実際に人々の経済活動を支えるインフラとして、トロンは今後も成長を続けると期待される。

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