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欧州中銀顧問、米ドル建ステーブルコインの拡大に懸念 デジタルユーロで対抗か

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欧州中央銀行(ECB)の市場インフラ・決済部門顧問のユルゲン・シャーフ氏は28日、ステーブルコインは国際金融のあり方を変革するものであり、戦略的な対応を取らなければ、欧州の通貨主権と金融安定性が損なわれる可能性があると警告した。

特に欧州にとっての大きなリスクは、USDTやUSDCといった米ドル建ステーブルコインが、世界市場を席巻していることだと同氏は主張する。米ドル建ステーブルコインがステーブルコイン市場の時価総額2,300億ドル(約34兆円)の99%を占める一方で、ユーロ建ステーブルコインの時価総額はわずか3.5億ユーロ(約599億円)未満であり、両者の規模には著しい格差がある。

さらに、米国では7月18日にステーブルコイン規制の枠組みを定めたジーニアス法が成立したが、同法は欧州の包括的な暗号資産(仮想通貨)規制であるMiCAよりも「より寛容な側面」があるとシャーフ氏は指摘。その結果、米ドル建ステーブルコインに対する規制が緩やかになり、ステーブルコインの供給量は、2028年末までに現在のおよそ10倍の2兆ドル(約296兆円)まで拡大すると見込まれている。

シャーフ氏は、米ドル建ステーブルコインがユーロ圏で広く利用されるようになれば、その影響は広範囲に及び、ECBの金融政策への影響力を弱める可能性があると述べた。米ドル建ステーブルコインの拡大は、米国の経済的・地政学的優位性を高め、欧州の資金調達コスト上昇や地政学的依存を招く可能性があると同氏は見ている。

シャーフ氏は、ドル建てステーブルコインが欧州の金融統制を弱体化させる可能性のある複数の経路について、具体例を挙げて説明した。

決済分野では、送金や電子商取引でステーブルコインの導入が進んでいる。米大手カード会社のVisaとMastercardは、すでにドル建てステーブルコインを決済システムに統合。また、ウォルマートやアマゾンといった米大手小売業者も、ステーブルコインの利用を検討しており、大規模な決済フローを従来の金融システム外に移行させる恐れがある。

また、決済資産として機能するステーブルコインは、分散型金融(DeFi)、仮想通貨取引所、トークン化資産市場での取引決済、およびクロスボーダー決済に幅広く活用されている。新たなユースケースとしては、機関投資家のDVP決済や銀行間取引のサポートも実現しており、その迅速性とグローバルなアクセス性、相互運用性が注目されている。

さらに、ステーブルコイン保有に対し利回りを提供するプラットフォームもある。利回りを求める企業や消費者の間でこのようなステーブルコインが普及すれば、欧州の銀行から預金が流出する可能性があり、金融仲介機能を脅かし、信用供与を阻害することに繋がりかねないとシャーフ氏は警告。特に銀行が金融システムの中心的な役割を果たしている欧州での影響は大きく、米ドル建ステーブルコインがユーロ圏で広く利用されるようになれば、ECBによる金融環境へのコントロールが弱まる可能性があると同氏は強調した。

シャーフ氏は、トークン決済インフラにおいて、信頼できるユーロ代替手段が実現されない限り、米ドル建ステーブルコインが早期に優位に立つ可能性があると指摘。「こうした米ドルの優位性は、米国に戦略的・経済的優位性をもたらし、より低コストで資金調達しつつ、世界的な影響力を発揮することを可能にするだろう」と述べた。

それは欧州にとって、米国と比較して資金調達コストが上昇し、金融政策の自由度が低下するとともに、地政学的依存度が高くなることを意味する。

このような現状に対し、欧州に待っている余裕はないと同氏は強調。以下のような複数の対応策を示した。

シャーフ氏はデジタルユーロを、より広範なデジタル決済戦略の補完的な要素と位置付け、「決済時点における欧州の通貨主権を守る強固な防衛線となることが期待される」と述べた。

ECBは7月初旬、欧州のホールセール決済およびクロスボーダー決済インフラの強化を目的とした2つのDLTパイロットプロジェクト「Pontes」と「Appia」を承認しており、同氏はこのイニシアチブがこの分野に大きく貢献すると見ている。

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