米国上院銀行委員会、仮想通貨規制「CLARITY法」の草案を発表
米上院銀行委員会は22日、デジタル資産市場明確化法(CLARITY法)の最初の議論草案を発表した。この草案は、超党派の強い支持を得て17日に下院を通過したCLARITY法に基づいて策定されたもので、同委員会のティム・スコット委員長とデジタル資産小委員会のシンシア・ルミス委員長を含む4人の上院議員が主導している。
この草案は、銀行委員会が監督する証券取引委員会(SEC)の取り組みと役割に重点を置いており、下院のCLARITY法の内容と異なる部分も多くみられる。その中でも特に注目すべきは、新たに導入された「補助資産」(ancillary asset)というトークンの区分で、証券には該当しないと明示されている。
草案では補助資産を「投資契約を構成する取決めを通じて証券の売買に関連して販売されるデジタル資産」と定義し、補助資産自体が所有者にいかなる金銭的権利も付与しないとしている。
補助資産の発行者は、補助資産が通常の証券に付随する権利を付与していないことを自己証明することが可能だ。一方、SECが当該資産を審査し、証券に類似していると判断した場合には、60日以内に自己証明を却下することができる。
また、補助資産の提供または販売総額が、年間最大7,500万ドル(約110億円)以下である場合、4年間SECへの登録要件が免除される。または、補助資産の提供/販売が発行済み資産の総額10%以下である場合も同様の措置が認められる。
これは、SEC登録前に「準備期間」が認められること意味しているため、イノベーションを促進する一助になると期待されている。
草案の発表にあたりスコット委員長は、上下両院議員が「投資家を保護し、イノベーションを促進し、デジタル金融の未来をアメリカにしっかりと根付かせるための、デジタル資産に関する明確なルールを策定するという同じ目標を共有している。」と強調した。
ルミス議員は、この法案は「規制の不確実性の時代」を終わらせるものであると主張。「規制上の混乱によって、米国のイノベーションが海外に流出し続けることを許してはならない」と述べた。
この草案は、上記の内容に加えて投資契約を構成する要素をより明確に定義することや、既存の要件を仮想通貨活動の実態に適合するよう、SECに対し証券規制の近代化を求めている。
また、仮想通貨に関する検査基準の策定を義務付け、民間セクターが連邦法執行機関と連携して不正資金の検知と抑止を行うことを奨励するとともに、銀行業務におけるイノベーションの促進を図るため、銀行持ち株会社が認可された仮想通貨関連活動(カストディサービスや取引支援など)に従事することを、保証している。
さらに、この草案は、個人による仮想通貨の自己保管および管理を許可しており、ブロックチェーンの作成や維持に関与する開発者やプロバイダーが「送金業者」とみなされたり、登録義務の対象となる可能性を除外している。
仮想通貨イノベーション評議会の米国政策ディレクターであるラシャン・コルバート氏は、この草案は銀行委員会の管轄権に焦点を当てるものであり、デジタル商品の定義やその取引については明示されていないと指摘。その理由として、当該事項が農業委員会の管轄であることを挙げた。同氏は、最終的に農業委員会と銀行委員会がCLARITY法について連携することになるだろうと予想している。
銀行委員会は、草案の発表と同時に、以下の事項について利害関係者からの情報提供を求めている。
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