ビットコイン最高値更新の裏で進む個人投資家離れ、Google検索トレンドが示す市場構造の変化
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比+1.2%の1BTC=119,100ドルに。
ビットコインが過去最高値を更新した影響で、イーサリアム(ETH)やエックスアールピー(XRP)など、幅広い銘柄のアルトコインにも買いが入っている。
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米下院が暗号資産の規制枠組みを決定する3つの重要法案について審議する7月14日から18日までの期間が「クリプトウィーク」と名付けられた。
フレンチ・ヒル下院金融サービス委員長、GT・トンプソン下院農業委員長、およびマイク・ジョンソン下院議長が連名で発表した今回の「クリプトウィーク」は、トランプ政権のデジタル資産政策の推進を目的としている。
ヒル委員長は、「我々は、米国がイノベーションにおいて世界のリーダーであり続けることを確実にするため、歴史的な一歩を踏み出している」と述べ、「投資家を保護し、米ドル担保のペイメント・ステーブルコインの発行と運営に関するルールを提供し、米国人の金融プライバシーを保護するため中央銀行デジタル通貨(CBDC)の創設を恒久的に阻止する画期的な法案を推進している」と説明した。
今回審議されるのは3つの重要法案だ。これらが実現することで明確な規制枠組みの確立により、投資家の信頼回復と暗号資産(仮想通貨)業界への新規参入が期待されている。
商品先物取引委員会(CFTC)と証券取引委員会(SEC)の仮想通貨に対する監督権限を明確化する法案。多くの仮想通貨取引所はCFTCへの登録が義務付けられ、情報開示、顧客資産の分別管理、記録保持に関するルールが定められる。
同法案は賛成多数で可決されており、すでに超党派の支持を得ている。
上院にて賛成多数で可決された同法案は、民間企業による完全な現金裏付けのステーブルコイン発行を許可する。ステーブルコインは現金または高流動性資産による完全担保が義務付けられ、大手発行者には厳格な監査要件が課される。
下院が自身のSTABLE法案ではなく、上院のGENIUS法案を採用することで、トランプ大統領が求める8月までの法案成立が可能になるとされる。
連邦準備制度理事会による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の個人への直接発行を禁止する法案。金融監視と政府の権力乱用への懸念から、米国人の金融プライバシー保護を目的としている。
上院銀行委員会のティム・スコット委員長は市場構造に関する作業を9月30日までに完了する予定としており、米議会での仮想通貨規制をめぐる議論は今後数ヶ月間続くことが予想される。
一方、政権交代した民主党は、トランプ率いる共和党政権による仮想通貨関連事業と権力乱用リスクを懸念しており、マキシン・ウォーターズ下院金融サービス委員会ランキングメンバーらが批判している。
「クリプトウィーク」は米国の仮想通貨規制において歴史的な転換点となる可能性が高い。
米国は明確な規制枠組みの確立により、仮想通貨分野での競争優位性を確保し、投資家保護と金融イノベーションのバランスを取ることを目指している。ビットコインをはじめとする仮想通貨市場は、この立法プロセスの行方を注視しており、成立すれば投資家心理にも追い風だ。
バーンスタイン証券は、ビットコインが2025年内に1BTC=200,000ドルの大台に達すると予測し、これまでの150,000ドルから上方修正した。
ビットワイズのヨーロッパ調査責任者アンドレ・ドラゴス氏は「最近の反発は機関投資家によるもの」と分析した。
この指摘は実際の資金フローデータによって裏付けられており、SoSoValueによると、7月10日と11日には米国のビットコイン現物ETFへの資金流入がそれぞれ11億8000万ドルと10億3000万ドルに達し、累計流入額は過去最高の523億6000万ドルに及んだ。
ブルームバーグのETF専門家は「近年ビットコインの市場価格が安定している理由は、所有者の属性変化によるものだ」と分析し、ETF投資家や企業投資家は予想以上に強いホルダーであると評価している。
一方で、個人投資家の関心は過去の強気相場サイクルと比較して目に見えて減少傾向にある。Googleトレンドによると、過去最高値を更新した7月6日から12日の週にこそ「ビットコイン(bitcoin)」検索の指標は40ポイントに達したが、過去のピークと比較すると程遠い状況だ。
業界関係者は、「現在の価格水準が個人投資家の参入障壁となっている」と指摘している。
デジタル資産擁護者のリンジー・スタンプ氏は「多くの個人投資家は、1BTC=117,000ドル(1750万円相当)の価値があると知っても、高くて買えない、怖いなどの先入観などから購入を検討すらしないのではないか」と分析している。
個人投資家が好むようなアルトコインが長らく低迷していたことや、国内投資家については税制面で有利なメタプラネットなどのビットコイン関連株へ投資対象をシフトしていることも理由の一つに挙げられる。
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機関投資家主導の安定した成長が続く一方で、仮想通貨市場特有のボラティリティリスクは依然として存在している。
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