ビットコイン中東リスクで調整、FOMC通過後の買い戻し予想|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上下に振れた後下げに転じ、13日正午時点で1490万円周辺で推移している。
先週NY証券取引所にサークル(CRCL)が週明けの時間外取引で急騰したことで、BTCも連れて1525万円から1550万円台に上昇。米国時間には米証券取引委員会(SEC)のアトキンス委員長がDeFi規制緩和や暗号資産(仮想通貨)セルフカストディを支持する発言をしたことで、相場はさらに上昇した。
一方、ドル建てBTC相場が11万ドルにタッチすると失速し、10日からは高値揉み合いに転じた。
11日、米国時間序盤に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ると、BTCは一時1600万円にタッチしたが、米連邦政府が中東情勢緊迫化から一部中東職員を退避させると発表させると、リスクオフムードが加速し、BTCは下げに転じた。
その後もリスク回避の動きが続き、12日欧州時間には週明けの上げ幅をほぼ吐き出した。米国時間にはインフレ指標の下振れで1560万円まで回復するも、イスラエルがイランを攻撃する可能性が浮上し、1520万円まで反落。
さらに13日東京時間序盤にはイスラエルがイランの核施設を攻撃したとの報道を受け、相場は1500万円を割り込んでいる。
地政学リスクで軟化したBTC相場だが、近年では22年のロシアのウクライナ侵攻、23年のイスラエル・ガザ戦争と、戦闘勃発直後のBTCはグローバルなリスク回避の動きの流れで売られていたが、売り一巡後には買い戻しが入り反発する傾向があった。
目先ではドル建ての一目均衡表雲上限の10万1400ドル(≒1456万円)近辺まで下落する可能性も指摘されるが、中長期的な相場の上昇トレンドを反転させる程の材料とはならないだろう。
他方、今週は5月の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が発表され、それぞれ前年比では若干の加速が確認されたが、市場予想は下回った。また、トランプ関税の影響が引き続き危惧される中、前月比では双方とも伸びが減速しており、FF金利先物市場では金利見通しに下方修正が入った。
依然として来週の米連邦市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きと景気の先行きに対して慎重な意見が示されると予想されるが、目新しい材料がなければBTCは無難にイベントを通過し買い戻しが入ってもおかしくないとみている。
また、6月も後半に差し迫っており、FOMCを通過すれば「トランプ減税」法案へ市場の関心も移る可能性がある。米上院共和党は米国の独立記念日である7月4日までに法案の通過を目指しており、成立に近づけば米連邦政府の債務拡大懸念を背景にドル建て資産からの逃避マネーがBTCに再び流入するだろう。
BTCは高値での揉み合いが続くと想定しているが、上方向へのブレイクアウトに向けた準備期間だとみている。
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