イーサリアムの処理能力強化案、賛否両論に
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム( ETH )のバリデータの14%は、ネットワークにおける各ブロックのガス上限(ガスリミット)を6,000万まで引き上げることに同意している。
この変更はハードフォークを必要とせず、バリデータの50%以上が支持を表明すると自動的に有効になる。
なお、「ガス」とは、イーサリアム上でトランザクションやスマートコントラクトの実行に必要な計算量を測る基本単位だ。
イーサリアムの各ブロックには、処理できる取引量の上限が設定されており、これを「ガス上限」という。ガス上限が上昇すると、各ブロックが処理できるトランザクション数が増加し、レイヤー1の処理能力がさらに向上する可能性がある。
現在のガス上限は、3,600万ユニットに設定されているところだ。新たに提案されている上限は6,000万ユニットであり、約1.7倍に引き上げることを目指している。
イーサリアム研究者のトニ・ヴァールシュテッター氏が作成したgaslimit.picsダッシュボードによると、5月中旬より、6,000万ユニットへの引き上げを支持するバリデータと、3,600万ユニットよりも引き下げることを支持するバリデータの双方が次第に増加傾向にあるところだ。
前回のガス上限引き上げは2025年2月に行われた。3,000万ユニットから現行の3,600万ユニットに引き上げられている。
さらにその前の2021年には、1,500万ユニットから3,000万ユニットに引き上げられていた。今回の提案については、イーサリアムのコミュニティで賛否両論を巻き起こしている。
支持派は、上限引き上げにより手数料が削減されると共に、イーサリアムのメインチェーンのトランザクション処理能力が拡大すると意見。一方で反対派は、ノードに負荷がかかり、同期やネットワークの安定性に問題が生じる可能性があると懸念しているところだ。
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ノードへの負荷については、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が19日、それを緩和する提案を行っている。
ブテリン氏は、イーサリアムが安全性と分散性を維持しながら拡張性を向上できるようにする新ロードマップを提案。個人によるノード運用のハードルを下げることを目指すものだ。
L1ガスリミット増加に対する主な批判は、フルノードの運用を困難にするとの懸念だと指摘。
短期的には、ノードが保存する履歴データを36日分に制限する『EIP-4444』の実装や分散型履歴データ保存ソリューションを解決策として挙げた。さらに、中期的には「ステートレス検証」によりノードのストレージ必要量を約50%削減することを提案している。
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