米GENIUS法案が否決、ステーブルコイン規制の先行き不透明に
米国上院のステーブルコイン規制法案「GENIUS法案」が米時間木曜日の重要な手続き投票で否決され、成立の見通しが大幅に低下した。当初は両党から強い支持を受けていたが、複数の親仮想通貨派の民主党議員が討論終結に反対票を投じ、法案の全体投票への進行を阻止した格好だ。
先週末、民主党議員への事前通告なく法案の新バージョンが出回ったことで、9名の民主党議員が支持を撤回。議員らはマネーロンダリング対策や国家安全保障要件への懸念を理由に挙げた。これに対し共和党は法案の迅速な採決を求める姿勢を強め、両党の主要議員が合意形成に向けた協議を続けてきたが、結果として手続き投票は失敗に終わった。
ベッセント財務長官は法案否決後、「ステーブルコインやデジタル資産が世界で発展するには、米国のリーダーシップが必要だ。上院はGENIUS法案を前進させられず、その機会を逃した」と厳しく批判。さらに「この法案はドル支配力と金融イノベーションにおける米国の影響力を拡大する千載一遇の機会だ。法案なしでは、成長と競争力に有利な統一された連邦の枠組みではなく、州ごとの規制の寄せ集めにステーブルコインは縛られる」と指摘。「世界は米国の議員が時間を無駄にしている間も見ている。今日、米国の独創性を妨げる投票をした上院議員らは、先頭に立つか、デジタル資産イノベーションが海外に移るのを傍観するかの選択に直面している」と警告した。
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Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者は今週5日、民主党の方針転換について、実際の法案内容よりもトランプ大統領の支持率低下や仮想通貨をめぐる利益相反の議論が背景にある可能性を指摘している。特にトランプ一族が独自ミームコインTRUMPやUSD1ステーブルコインに関与していることから、エリザベス・ウォーレン上院議員らは「トランプ家が私腹を肥やす」との懸念を表明していた。
モーニング・コンサルトの最新世論調査では、トランプ氏の支持率は46%(前週比+1ポイント)、不支持率は52%と、就任時の数字から逆転している状況だ。この政治状況が、民主党議員の法案支持撤回の背景にあると分析されている。
今回の挫折は、他の進行中の仮想通貨関連法案にも悪影響を及ぼす可能性がある。下院の並行するステーブルコイン法案や両院の仮想通貨市場構造法案が、超党派の支持と政治的な勢いを失う恐れがある。Bitwiseのホーガン氏は、現在のトランプ政権による促進策は行政命令ベースのものが多く、将来の政権交代で覆される可能性があるため、議会による法制化の重要性を強調した。
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