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訪日客の免税還付に「デジタルの円」──JapanRefundがJPYCでの受け取りに対応

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訪日旅行者が免税店で税抜10万円のカメラを買うと、レジで支払うのは消費税が加算されて11万円になります。2026年11月1日、日本の免税の仕組みが変わりました。消費税率10%のこの例では、出国時にカメラを国外へ持ち出すことを税関が確認すると、1万円が還付の対象になります。

この返金の受け取り方に、円建てステーブルコイン「JPYC」が新たに加わりました。日本免税とUPBONDは10月29日、免税還付サービス「JapanRefund」でJPYCを選べる仕組みを発表しました。対象は11月1日以降の免税購入分です。
発行元のJPYC株式会社は、JPYCを資金決済法上の「電子決済手段」と位置づけ、暗号資産と区別しています。これまでJPYCを持っていなかった旅行者も、受取先を用意し、日本での買い物の返金として初めてJPYCを手にできます。

レジで払った1万円は、いつ戻るのか

10月までは、免税の条件を満たせば、旅行者は店頭で税抜価格を支払うことができました。11月からの「リファンド方式」では、原則として、商品を国外へ持ち出すことを税関が確認した後に、免税店か、店から委託を受けた事業者が消費税相当額を返金します。

切り替わる基準は購入日です。たとえば、旅行者が10月31日と11月1日に買い物をし、11月2日に日本を出るとします。この場合、新方式が適用されるのは11月1日に購入した商品です。

旅行者は購入日から90日以内の出国時に、免税対象品を手元にそろえて税関確認を受けます。先ほどのカメラをスーツケースに入れるなら、空港でその荷物を預ける前に手続きが必要です。税関では購入手続きごとに持ち出しを確認するので、同じレシートに複数の免税対象品があれば、そのすべてを提示できるようにしておきます。

店にとっての変化は、買い物を終えて店を離れた旅行者に、後からお金を届ける仕事が生まれることです。国税庁のQ&Aは、銀行振込、カードやアプリを通じた送金、出国する空港や港での現金による返金などを例に挙げています。具体的な受取方法を用意するのは、免税店や、そこから返金を任された事業者です。

カードや銀行口座に代わる返金先

日本免税とJPYC株式会社が免税還付への活用で提携したのは2026年3月です。両社が挙げた課題の一つは、返金のために店頭で旅行者のカード番号や銀行口座情報を預かることでした。帰国後、還付を待つ間にカードの番号が変われば、購入時のカードへ返金するのが難しくなる場合もあるとしています。

JapanRefundでJPYCを選んだ旅行者は、受取先となるウォレットを用意します。ウォレットに直接送付する仕組みなので、店は還付用に旅行者のカード番号や銀行口座情報を集めずに済みます。UPBONDはウォレットの作成・認証から、日本免税の還付システムと連携した送金、送金状況の確認までを担います。

旅行者が税関確認を終えると、日本免税が購入記録との照合などの還付処理を行い、その後にJPYCがウォレットに届きます。送付に使うネットワークとして両社が示したのが、ブロックチェーン「Avalanche」のC-Chainです。送付の履歴がそこに残るため、還付処理を終えた事業者は、JPYCを送ったかどうかを取引記録から確かめられます。

日本免税は、ウォレットへ直接送ることで、カード返金や海外送金で生じる送金コストを抑える狙いを挙げています。先ほどのカメラで還付の対象になるのは1万円ですが、実際にいくらがいつ届くかは、還付サービスの手数料と処理条件で決まります。

受け取ったJPYCを円に戻すには

「1JPYC=1円」は、発行元がJPYCを発行し、日本円に戻すときの交換比率です。JPYC株式会社は、発行残高の100%以上に相当する額を、日本円の預貯金と国債で保全すると説明しています。2025年10月から、発行と償還を受け付ける「JPYC EX」を提供しています。

還付金がウォレットに届いた後、その残高を日本円で受け取るには、JPYCを発行元に戻します。これが「償還」です。JPYC EXでは、登録した利用者が償還を申し込んでJPYCを送付すると、発行元が1JPYCにつき1円を出金先の銀行口座へ振り込みます。

JPYC EXの個人アカウントを開設する際は、マイナンバーカードの公的個人認証で本人確認を行います。発行元が円を振り込む先として登録できるのは、日本国内の所定の金融機関の口座です。

円でいくら戻るかと、旅行者が普段使う通貨でいくらになるかは、別々に決まります。米ドルで暮らす人なら、JPYCを円建てのまま保有している間も、ドルに換算した価値は円相場に応じて変わります。

発行元の交換比率と、市場で実際に成立した売買価格との関係は、9月の記事で取り上げています。

次の日本旅行で、その残高を使えるか

日本免税とUPBONDが描いているのは、旅行者がもう一度日本を訪れる場面です。今回の買い物で受け取ったJPYCをウォレットに残しておき、次の旅でJPYCに対応する店を訪れたときに、その残高で支払うという構想です。

旅行者には、買い物に使うつもりで先にお金を入れなくても、返金を受け取った時点でウォレットに残高がある、という利点があります。もう一度日本へ来る予定のある人なら、その残高を使える場所が旅程にあるかどうかで、JPYCを選ぶ理由も変わります。

発行元は、事業者がJPYCの送受信や残高の確認を自社サービスに組み込むための開発ツールを公開しています。免税還付を担う会社がウォレットへJPYCを送り、買い物の場を提供する別の会社がJPYCでの支払いに対応する。返金を次の買い物につなぐには、受け取る側の仕組みに加え、使いたい店の対応が要ります。

たとえば、前の旅で買ったカメラを持って再び日本を訪れ、旅先でメモリーカードを買い足すとします。その店がJPYCに対応していれば、前の旅で戻ってきた消費税相当額を、今度はそのカメラで写真を撮るために使えます。

※制度・サービスの記述は、2026年11月2日時点の公表情報に基づきます。


参考資料

[1] 日本免税|「JapanRefund」でのJPYC受け取り対応(2026年10月29日)
[2] UPBOND|JPYCによる免税還付の実用化(2026年10月29日)
[3] JPYC|資金移動業者の登録取得・電子決済手段の説明
[4] JPYC|発行・償還サービス開始の発表(2025年10月24日)
[5] 観光庁|旅行者向け特設ページ・リファンド方式の案内
[6] JPYC・日本免税|免税還付モデルの発表(2026年3月3日)
[7] JPYC公式FAQ|JPYCを日本円に償還する方法
[8] JPYC公式FAQ|銀行口座情報の登録手順
[9] JPYC公式FAQ|個人アカウントの開設手順
[10] 国税庁|リファンド方式に関するQ&A(問29・返金手続)


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