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セブンは今もNFTを配っていた──ブームが静かになった3年間で、使い道が変わっていた

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数年前、NFTといえば高額で売買されるデジタルアートが話題でした。当時ほどNFTのニュースを見かけなくなった今も、実はセブン銀行はNFTを配っていました。2026年10月に始まったのは、ATMで電子マネーをチャージすると、お城の「御城印」のNFTがもらえるキャンペーンです。

過去の発表を遡ると、2023年の募金から東急線、コンビニの買い物、バスケットボールまで、セブン関連のNFT企画を少なくとも6件確認できました。実施主体にはセブン銀行とセブン‐イレブン・ジャパンが含まれます。しかもセブン銀行は、NFTの売買ではなく、全国のATMを使って配る仕組みを法人向けサービスにしていました。無料で配るNFTは、何のために使われているのでしょうか。

ATMでもらった御城印で、福井のお城イベントへ

2026年10月13日に始まった「越前若狭デジタル御城印めぐり」では、対象地域のセブン銀行ATMで交通系電子マネーをチャージすると、画面や明細票に表示されるQRコードから御城印のNFTを受け取れます。御城印は、お城を訪れた記念などに集める印のこと。今回は紙ではなく、スマートフォンで集めるデジタル版です。

もう一枚が配られるのは、10月31日と11月1日に福井市で開催予定の「越前若狭お城フェス2026」の会場です。ATMで配られる御城印と会場で配られるものはデザインが異なります。チャージのついでにイベントを知り、現地でもう一枚受け取る。セブン銀行と協業先が狙っているのは、その来場までの流れです。

この企画で案内されているNFTの使い道は、売買ではなく、参加した記録として集めることです。セブン銀行は、いつからこうした使い方を始めたのでしょうか。

2023年、募金のお礼は「売れないNFT」だった

最初に確認できたのは、2023年7月18日から10月16日まで実施されたNFT募金キャンペーンです。セブン銀行ATMでセブン‐イレブン記念財団への対象募金をすると、現代美術家の窪田望さんが制作したアートNFTを受け取れました。キャンペーンページに掲載された募金総額は254万6,000円です。

ここで配られたNFTは「SBT」と呼ばれる、原則として他人に譲れない形式でした。セブン銀行は公式サイトで、NFTを募金した「行動の証」と説明しています。アート作品でありながら、価値が上がったら転売する使い方を想定していなかったのです。専用の暗号資産ウォレットを事前に用意していない人でも、ブラウザーから受け取れるようにしていました。

募金したことをデジタルの記念品として残す。2023年の段階では、NFTの役割は一つの行動に対するお礼でした。2年後、セブン銀行は別の会社が実施するキャンペーンへ、この仕組みを持ち込みます。

2025年、ATMのスタンプで東急線へ

2025年9月29日、セブン銀行はSUSHI TOP MARKETINGと企業向けNFTマーケティングで業務提携しました。同日から始まった東急電鉄とのデジタルラリーでは、ATMで交通系電子マネーをチャージし、東急線の駅や沿線の商業施設でもNFTスタンプを集めます。3種類をそろえると3D車両NFTを受け取れ、先着のお茶のデジタルギフトや抽選の乗車券クーポンも用意されていました。

セブン銀行が公開した関係者インタビューには、導入理由を理解する手掛かりがあります。東急電鉄の担当者は、NFTを使ったことで企業間のシステム連携をせずに共同企画を実施できたと説明しました。銀行と鉄道会社が共通の会員システムを新設する代わりに、参加者が同じウォレットで集めたNFTをスタンプとして扱う方式です。

2026年9月の第2弾では、ATMで一枚目を受け取ったあと、東急線沿線の目的地を探し、GPSを使って二枚目を取得する方式になりました。NFTを配る場所が増えただけでなく、参加者の行動を次の場所へつなげる設計が具体的になっています。

2026年、買い物のレシートまでつながった

2026年3月、セブン銀行、セブン・カードサービス、SUSHI TOP MARKETING、電通グループは、ATM利用と買い物を結び付ける実証を発表しました。題材は「森の戦士ボノロン」のデジタルラリー。ATMでnanacoにチャージすると一枚、セブン‐イレブンで対象商品をnanacoで買うともう一枚、NFTスタンプがもらえる仕組みです。

商品の購入確認には、SUSHI TOP MARKETINGのAI-OCRを使用しました。レシートの画像から対象商品、金額、決済手段を読み取り、条件に合う購入を判定します。同じレシートの再提出や、生成画像による不正を検知する機能も発表されています。NFTはその確認結果に応じて発行されるもので、購入内容の読み取りを担うのはAIです。この取り組みは販促モデルの概念実証として発表されており、購買増加などの成果は公表されていません。

その半年後の9月には、セブン‐イレブン・ジャパンが札幌市内342店舗とバスケットボールの試合会場で、レバンガ北海道のNFTスタンプラリーを実施しました。参加者はLINEから店舗のQRコードを読み取り、対象の飲料を買ったレシートを提出してポイントを集められます。5ポイントで先着の飲料クーポン、10ポイントでグッズなどの抽選に応募する仕組みです。こちらはセブン銀行の事業とは別の企画ですが、店舗への来訪と商品の購入を一つの遊びにしています。

普通のスタンプカードで十分ではないのか

NFTを使わなくても、紙のスタンプや会員アプリで来店を記録できます。今回の取り組みで違いが出るのは、銀行、鉄道、商業施設など別々の事業者が、同じウォレットに集まるNFTの保有記録を特典の判定に利用できる点です。実際に東急電鉄は、企業間のシステム連携を不要にできたと説明しています。

仕組みは、参加条件を確認する部分と、記録を受け渡す部分に分かれています。ATMでのチャージはATM側で確認し、イベントへの参加条件はQRコードの読み取りやGPSで判定します。商品の購入条件はレシートの解析で確認します。NFTは、その結果に応じて利用者のウォレットへ発行されるデジタルスタンプです。同じウォレットで集めたNFTを見れば、どの条件を満たしたかを確認できます。

メールアドレスなどを企業間で直接交換せずにキャンペーンを設計しやすい点も、提携各社が挙げる利点です。ただし、すべての企画が匿名参加というわけではありません。レバンガ北海道の企画ではLINEの友だち追加と初回認証が必要でした。個人情報や購入情報の取り扱いは、キャンペーンごとの仕組みによって決まります。

セブン銀行はNFTではなく「配る場所」を提供していた

セブン銀行の法人向けサイトには、全国約2万8,000台のATMと、1日284万人という利用者規模が掲載されています。これはNFT配布数ではなく、日常的にATMと接点を持つ利用者の規模です。個々のキャンペーンでは、対象地域や取引条件が設定されています。

同社の「NFT配布サービス」では、企画する企業がSUSHI TOP MARKETINGと契約し、セブン銀行がATMからNFTを配る機能を提供します。鉄道会社なら沿線への外出、自治体なら観光イベント、商品メーカーなら購入促進。各社が目的を持ち寄り、ATMという普段使いの場所をキャンペーンの入口にする仕組みです。

6企画を横断すると、セブン銀行主体の施策にも、セブン‐イレブン・ジャパン主体のバスケ企画にも、SUSHI TOP MARKETINGが技術提供で関わっています。セブングループの一つの戦略として発表された6件ではなく、同じ技術会社が銀行、鉄道、店舗、観光の企画をそれぞれ支えている構図です。

福井の御城印企画では、ATMでもらえる一枚目と、会場でもらえる二枚目が別々に用意されています。取得記録を同じウォレットで照合すれば、二つを集めたウォレット数を確認できます。主催者側が目指す来場促進の成果はまだ公表されていませんが、売買されるNFTの価格より、ATMでのチャージから会場での取得まで、二つの行動がどれだけつながったかが、このサービスの価値を測る材料になります。

参考資料

セブン銀行「NFT募金キャンペーン」(2023年)
セブン銀行・SUSHI TOP MARKETING業務提携(2025年9月)
セブン銀行・東急電鉄担当者インタビュー(2025年10月)
東急電鉄・デジタルラリー第2弾(2026年9月)
電通グループ・AI-OCRとNFTの共同実証(2026年3月)
セブン‐イレブン・ジャパン×レバンガ北海道(2026年9月)
セブン銀行「越前若狭デジタル御城印めぐり」(2026年10月)
セブン銀行「NFT配布サービス」
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。


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