mt logoMyToken
ETH Gas
EN

BNB Chainの新L1、使わなかったガス代も請求──新コインは発行せず、手数料の一部を焼却

Favoritecollect
Shareshare

2026年10月22日、BNB Chainが開発する新たなブロックチェーン「New L1」の技術資料が公開されました。高速な取引や決済を想定したネットワークですが、資料には少し変わった手数料の例が載っています。実際には7万ガスで終わる処理でも、上限を50万ガスに設定すれば、50万ガス分の料金を支払うというものです。

さらに、新L1では独自の暗号資産を発行せず、既存のBNBを手数料やステーキングに使用します。取引手数料として集められたBNBの一部は焼却され、流通可能な供給から取り除かれる設計です。

新しいチェーンがBNBの利用先を増やす一方、その手数料には実際の処理に使われなかった分も含まれます。新L1の技術仕様を詳しく読むと、BNBの手数料収入や焼却量が増えたとき、その数字をどう評価するかという論点が浮かんできます。

BNB Chainが新たなL1を開発

BNB Chainが次世代L1の構想を公表したのは、2026年7月8日です。当時の技術ロードマップでは、既存のBNB Smart Chain(BSC)の高速化を進めながら、さらに高い性能を持つブロックチェーンを開発すると説明していました。7月14日には開発者向けフォーラムも設けられ、新しい暗号資産を発行しない方針や、BSCと並行して運用する計画が明らかになっています。

今回の新L1が想定するのは、高頻度の金融取引や決済、AIエージェントなど、取引の処理速度や順番が重要になる用途です。開発ネットワークではブロック生成間隔を200ミリ秒に設定し、取引を取り込む見込みを約20ミリ秒で知らせる「事前確認」の仕組みも備えています。

従来のBSCも高速化を進めており、2026年前半にはブロック生成間隔を450ミリ秒まで短縮しました。それでもBNB Chainが別のL1を開発するのは、高頻度取引などに必要な構造を、既存BSCの改修だけで実現することが難しいと判断したためです。

新L1は2026年10月26日時点で内部開発ネットワークの段階にあり、一般利用者向けには公開されていません。テストネットは2026年末、メインネットは2027年初頭の公開を予定しています。

新しいチェーンでも使われるのはBNB

通常、新たなブロックチェーンでは、そのネットワークの手数料や運営に使う独自の暗号資産が用意されることがあります。しかし今回、BNB Chainは既存のBNBを使う方針を採用しました。

New L1では、BSCから専用ブリッジを通じてBNBを移す設計になっています。移されたBNBは、取引手数料の支払いや、ネットワークを維持するバリデーターへのステーキングに使われます。さらにBNBをステーキングすると、運営方針への投票権を記録する「govBNB」が割り当てられます。govBNBは他人へ送ったり売買したりできないため、新たな取引銘柄としてのコインとは性質が異なります。

こうした設計では、BNBをBSCから新L1へ移すことと、BNBを実際に消費することの間に違いがあります。

例えば、ある利用者が保有する100 BNBをBSCから新L1に移しても、それだけで市場に100 BNB分の新規購入が発生するわけではありません。一方、新L1で取引が実行されれば、その手数料としてBNBが支払われます。ステーキングでもBNBが利用されますが、取引手数料とは資金の動きが異なります。
今回の新L1で特に特徴的なのは、この取引手数料の計算方法です。

使わなかったガス代も請求する理由

ブロックチェーンでは、取引の計算処理に必要な作業量を「ガス」という単位で表します。利用者は取引を送る際、使用できるガス量の上限を設定します。

通常のBSCでは、実際に消費したガス量をもとに手数料が計算されます。処理が予想より少ないガス量で終了すれば、余った上限分まで支払う必要はありません。

ところがNew L1では、実際の消費量ではなく、申告したガス上限に対して課金する仕組みが採用されています。
公式の開発者向け資料には、次の例が示されています。

同じガス単価で比較すると、請求対象となるガス量は約7.1倍です。新L1では、実際に使用しなかった430,000ガス分も支払いに含まれます。
この違いは、New L1が取引を処理する順番に関係しています。

New L1では、取引をブロックに並べる処理と、その取引の計算を実行する処理を分離しています。計算を終える前にブロック内の処理枠を確保するため、実際の消費量ではなく、利用者が申告した上限を使って予約枠を決めるのです。

そのため開発者は、従来のようにガス上限を大きめに設定するだけでも、余分な手数料を負担することになります。
特に影響を受けるのが、利用者に代わって取引手数料を支払うアプリです。New L1には、別のアカウントがガス代を肩代わりする機能もあります。利用者に手数料を請求しないサービスであっても、開発者がガス上限を過大に設定すれば、その分だけアプリの運営費が増えることになります。

余分に支払ったBNBも焼却の対象に

BNB Chainの新L1では、取引手数料を既存BNBで支払います。技術資料によれば、徴収された手数料はバリデーター関連のシステムコントラクトへ送られ、その一部にBEP-95という焼却の仕組みが適用されます。

BEP-95は、取引手数料の一部を使えないアドレスへ送ってBNBの供給から取り除く仕組みです。もともとBSCで導入されていたもので、新L1でも利用する設計になっています。

ここで、先ほどのガス代の計算がBNBの経済設計と結び付きます。
本来7万ガスで終わる処理に50万ガスの上限を設定した場合、利用者は余分な43万ガス分についてもBNBで手数料を支払います。その手数料の一部も、適用される焼却率に応じて焼却の対象になります。

つまり、新L1では実行された計算処理が同じでも、利用者が設定したガス上限によって手数料収入とBNBの焼却額が変化する仕組みになっています。
焼却はBNBの供給量を減らす要因です。しかし、取引のたびに焼却されるBNBが増えたとしても、そのすべてをネットワークの利用拡大による成果として評価することはできません。取引の件数が同じでも、開発者が必要以上に広いガス上限を設定すれば、利用者の手数料負担と焼却額が増えるためです。

さらにNew L1では、取引履歴に記録される「gasUsed」という数字にも、申告したガス上限が使われます。
従来のBSCでは主に実際の処理に消費したガス量を示すこの数字が、New L1の通常のユーザー取引では、確保した処理枠の大きさを示すものになります。

その結果、取引履歴を集計したガス使用量や、BNBの手数料収入、焼却量が増えていても、実際の計算処理が同じ割合で増えているとは判断できなくなります。

BNBの焼却が増えるほど、新L1は成功なのか

BNB Chainが新L1で目指しているのは、高頻度取引や決済など、従来のBSCでは処理しにくかった用途への対応です。新しい取引が増えれば、手数料として使われるBNBも増えることになります。

ただし、New L1では取引件数以外にも、ガス上限の設定によって手数料収入が変わります。同じ100万件の取引でも、アプリがガス上限を必要最小限に設定した場合と、余裕を持って大きく設定した場合では、利用者が支払うBNBの総額に差が生まれます。

例えば開発者がガスの見積もりを改善し、以前より少ない上限で同じ取引を処理できるようになれば、利用者が支払う手数料は減ります。焼却率やガス単価などの条件が同じなら、1件あたりに焼却されるBNBも少なくなります。

これは利用者にとっては手数料負担の軽減です。さらに取引コストが下がれば、高頻度で取引するアプリにとっても利用しやすい環境になります。
一方、ガス上限を過大に設定した結果としてBNBの焼却額が増えた場合、その分だけ利用者やアプリの負担も増えています。ネットワークの性能が同じでも、料金の設定方法によって手数料収入と焼却額が大きく変わるという関係です。

新L1では、新しいコインを発行する代わりに、既存BNBを取引手数料やステーキングに使用します。そのうえで、取引を実行するために予約した処理枠に料金を課し、徴収した手数料の一部を焼却する仕組みを組み込んでいます。

今後、新L1でBNBの焼却量が増えても、その数字の背景には、新しい取引の増加と、実際には使われなかった処理枠への支払いが混在します。開発者がガス上限を最適化すれば、利用者の負担と1取引あたりの焼却額は小さくなります。

BNBを多く焼却することと、少ない手数料で多くの取引を処理できることは、必ずしも同じ方向には進みません。 新L1が目指す高速取引の普及を考えるうえでは、焼却されたBNBの量だけでなく、利用者が負担した手数料によってどれだけの取引が実行されたのかが、経済的な成果を測る数字になります。


参考資料

  • BNB Chain:2026年下半期の技術ロードマップ

  • BNB Chain公式フォーラム:New L1構想

  • New L1公式:ネットワーク情報

  • New L1公式:BSCからの移行・ガス代の計算

  • New L1公式:非同期実行とガス代の仕組み

  • New L1公式:ステーキングとガバナンス

  • BNB Chain公式GitHub:BEP-95

※本記事は2026年10月26日時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。


Disclaimer: This article is copyrighted by the original author and does not represent MyToken’s views and positions. If you have any questions regarding content or copyright, please contact us.(www.mytokencap.com)contact
More exciting content is available on
X(https://x.com/MyTokencap)
or join the community to learn more:MyToken-English Telegram Group
(https://t.me/mytokenGroup)