国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週央にかけて上値を試すも勢いを維持できず、23日正午時点では1280万円台で推移している。
週初のBTC円は1300万円周辺で方向感に欠ける展開となったが、AI投資懸念が燻るなか、徐々に水準を下げていった。ただ、20日には米国とイランの交渉進展期待が台頭し、原油価格が急落するなか、BTCは切り返して1320万円台に値を戻した。その後は底堅い値動きが続くと、週央には米ハイテク株が反発するなか、米通貨監督庁(OCC)がジーニアス法の最終規則を公表したことも好感され、相場は1340万円近辺まで上昇した。
しかし、ドル建てでは節目の8.5万ドルまであと一歩の水準で相場は失速。その後は利益確定売りがロングの投げを誘発し、22日の東京時間には1310万円台まで急落した。さらに、AI投資の採算性や半導体需要の持続性への懸念が再燃し、AI・半導体銘柄などにも売りが波及するなか、BTCも軟調地合いとなり、1300万円を割り込んだ。
この日の米国時間には、ナスダックの大幅安に連れ安となり、1275万円周辺までさらに下落したが、ドル建てで8.1万ドル周辺となる同水準では下げ止まっている。
先週の見通しでは、目ぼしい材料に乏しいなか、ドル建てで8万ドル周辺のオプション需給を支えに、8万〜8万5000ドル程度のレンジで方向感を模索する展開を想定した。今週のBTCは週央に8万5000ドル手前まで上昇した一方、その後の急落でも8万ドルを割り込むには至っておらず、概ね想定したレンジ内での推移となった。
来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が最大の注目イベントとなる。FF金利先物市場では10月会合での政策金利据え置きが9割ほど織り込まれており、FRB内でも利上げを急ぐ必要はないとの見方が示されてきたことから、据え置きがメインシナリオとなろう。さらに、12月会合での利上げも7割以上織り込まれており、市場は概ね10月据え置き、12月に年内最後の追加利上げという政策パスを想定している。
尤も、仮に10月会合で利上げとなった場合でも、その影響が長続きするとは限らない。これまでのFRBの姿勢を踏まえれば、市場では12月に想定されていた追加利上げが前倒しされたと受け止められ、「これでしばらく利上げはない」との見方が広がる可能性もある。従って、BTCにとって重要なのは政策金利の決定そのものより、ウォーシュFRB議長の会見を通じてその後の利上げパスがどのように示されるかとなろう。
FOMC通過後には第3四半期の米GDP速報値や四半期ベースのPCE価格指数、9月の月次PCEも発表される。足元ではCPIやPPIの伸びが加速していることから、四半期ベースでも物価上昇率の加速が確認されれば、12月利上げ観測を補強する材料となり得る。
ただ、市場はすでに12月利上げを相当程度織り込んでいるため、強いデータを受けて利上げ観測がさらに高まる余地は限られよう。一方、景気や物価指標が弱めに出た場合には、12月利上げ観測が後退する余地が比較的大きく、金利面ではBTCにとって上方向への反応が出やすいとみている。
一方、今週後半に再燃したAI・半導体関連株への警戒には引き続き注意したい。巨額なAI投資の採算性や半導体需要の持続性に対する懸念は短期間で払拭されるテーマとは言い難く、来週も米ハイテク株の上値を抑える可能性がある。米株市場全体では売りが広がっているわけではないものの、BTCは足元でAI・半導体株との連動を強めており、同セクターの軟調地合いが続けば相場の戻りも鈍くなりそうだ。
こうしたなか、下値では引き続き8万ドル周辺の需給環境に注目したい。デリビットのオプション市場では今週の急落を受けても8万ドル周辺の需給構造に大きな変化はなく、特段の新たな売り材料がなければ同水準では相応のサポートが期待される。
総じて、来週はFOMCや米経済指標を通過しても金利見通しが大きく変化しない限り、8万ドル周辺を下値の目安とした底堅い推移をメインシナリオとする。一方、AI・半導体関連への警戒が上値を抑える可能性も高く、引き続き8万〜8万5000ドル程度のレンジで方向感を模索する展開を想定する。
