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GTA6の「架空の仮想通貨」が現実に誕生──発売前に時価総額約24億円

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GTA6の「架空の仮想通貨」が現実に誕生──発売前に時価総額約24億円

ピンク色の飛行機がビーチの上空を横切り、翼の上に立つ人物が煙を噴き上げ、機体には大きく「DacityCoin」の文字。2026年10月15日に公開された『グランド・セフト・オートVI』(GTA6)の公式予告編に、ほんの2秒ほど映った場面です。

そしてゲーム会社とは無関係の第三者が「DacityCoin」と同じ名前の暗号資産をSolanaというブロックチェーン上で発行していました。予告編の公開後に売買が活発になり、時価総額は一時1,500万ドル、約24億円に達したと、米暗号資産メディアDecryptが10月21日に報じています。

現実のDacity Coinが発行されたのは、公式予告編より4日前の10月11日。GTA6の未公開映像とされる動画が出回った日でした。

予告編の公開から1時間で、時価総額は約30倍に

10月15日の予告編が公開される直前、Solana上で売買されていた「Dacity Coin」の時価総額は約10万4,000ドルでした。Decryptによると、予告編公開後の約1時間で318万ドルに上昇。約30倍になりました。

時価総額は、その時点の価格に流通数量を掛けて計算する数字です。318万ドル分の資金が新たに流れ込んだという意味ではありません。それでも、ゲーム中の広告に名前が登場したことで、実在する別のトークンの価格が大きく動きました。

公式発表より4日前に出回った映像

10月11日、GTA6の未公開ゲーム映像とされる動画がネット上に出回りました。報道によれば、主人公のルシアが「AudaCity」を宣伝するため、パラシュートを使ったスタントに参加する場面が含まれていました。AudaCityは、公式予告編の飛行機にも書かれていた架空の会社名です。

Decryptが紹介した流出画像には、「派手なショーを見せれば、人々はDacity Coinが何なのか知る前に買う」という趣旨の言葉が記されていました。電話の相手がルシアに語りかけるセリフだといいます。暗号資産の仕組みよりも、派手な宣伝で買い手を集めようとする様子を皮肉った言葉です。ただ、このセリフが確認できるのは流出したとされる画像だけで、Rockstarが公表した場面ではありません。

そして同じ10月11日、トークン発行サービス「Pump.fun」で、現実のDacity Coinが作られました。Decryptによると、発行初日には時価総額が一時114万ドルに達しましたが、翌日にかけて約14万4,700ドルまで下落。その後、10月15日の公式予告編で名前が確認されると、再び取引が活発になりました。

映像を投稿したとされる「Cyberleek」は、自分たちの別の暗号資産「CYBERLEEK」の宣伝もしていました。ゲームメディアDot Esportsによると、動画にはそのトークンのQRコードも付けられ、保有者の投票で次に公開する映像を決める仕組みまで設けられていたといいます。

Cyberleekは10月10日、自分たちのトークンの時価総額が3,000万ドルに達したらGTA6のゲーム本体を公開すると主張しました。ゲーム全体のデータを本当に保有しているかは確認されていません。

何を期待して買っていたのか

Pump.funでは、利用者が名前を決めて暗号資産を発行できます。発行されたトークンは固有のアドレスで識別されるため、名前が同じでもゲーム内のDacityCoinと現実のDacity Coinは別のものです。

現実のトークンにGTA6のゲーム内で使える権利は付いていません。それでも、ゲーム発売後の話題性を見込んで売買するトレーダーがいました。

10月21日のDecryptの記事では、ゲームの中でDacityCoinがどのように登場するかを予想する人々が紹介されています。ある人はスタント関連のミッションに登場すると考え、別の人は『GTA5』にあった株式市場のように、ゲーム内で売買できるのではないかと見ていました。

Decryptの取材に応じたトレーダーたちは、GTA6でその名前が知られるようになれば、非公式トークンにも関心が集まると考えていました。ゲーム内で使うためではなく、名前が広まることを見込んだ売買だったのです。

ゲームで手に入れたアイテムが売買される例については、以前『タスクバーヒーロー』を題材に紹介しました。今回のように第三者が名前を借りてトークンを発行するケースとは、売買されるものが違います。

関連記事

株価に関連するトークンまで、売買に使われていた

Solana上の取引データを確認すると、Dacity Coinと「TTWO」を交換できる取引プールが見つかりました。

TTWOは、Rockstarの親会社Take-Two Interactiveの株価に連動するとされるトークン化商品です。Pump.funの対応資産一覧には、発行者としてBackpack Securitiesが記されています。Dacity/TTWOの取引プールでは、TTWOを支払ってDacity Coinを買い、Dacity Coinを売ってTTWOを受け取れます。

Pump.funは2026年9月、SOLやUSDC以外の資産も売買に使える「Custom Pairs」を導入しました。Dacity/TTWOも、この機能を使って第三者が作った取引市場です。RockstarやTake-Twoが開設したものではありません。

10月22日にGeckoTerminalで確認したところ、Dacity Coin全体の時価総額は約1,465万ドル(約23億円)でした。一方、Dacity/TTWOの取引プール内にあるDacity CoinとTTWOの評価額は、合わせて約49万ドル(約7,700万円)でした。

時価総額はトークン全体の評価額で、約49万ドルは一つの取引プールにある資産の評価額です。Dacity Coinにはほかにも取引市場があり、約49万ドルはそのうち一つのプールの数字です。

GTAの風刺を、現実の取引が追いかけた

2025年にも、似た騒動がありました。『フォートナイト』の架空通貨「Dill Bits」と同じ名前の暗号資産を第三者が発行し、価格が急騰しました。その後、価格は大きく下がりましたが、開発元Epic GamesのCEOが非公式トークンを「詐欺」と批判すると、時価総額が一時538万ドルまで跳ね上がりました。ゲーム会社の否定さえ、投機の材料になったのです。

GTA6の発売予定日は11月19日。ゲーム本編でDacityCoinがどんな役割を持つのかが分かる前から、現実の市場ではさまざまな思惑による売買が続いています。

流出画像に登場した「派手なショーを見せれば、何のコインか知らない人も買う」というセリフ。その皮肉と重なるような売買が、GTA6の発売前から現実に起きていたのです。


参考資料

  • Rockstar Games:GTA6公式ローンチトレーラー(2026年10月15日)

  • Decrypt:Dacity Coinの急騰(2026年10月16日)

  • Decrypt:トレーダーの見解と未公開映像のセリフ(2026年10月21日)

  • GeckoTerminal:Dacity/TTWO取引プール

  • Pump.fun:対応する取引ペア資産の一覧

  • CryptoPotato:Dacity CoinとTTWOの売買について

  • Dot Esports:Cyberleekの暗号資産を巡る主張

  • Decrypt:フォートナイトのDill Bits騒動(2025年4月7日)

※時価総額・流動性の独自確認は2026年10月22日時点。日本円への換算は1ドル約158円で計算しています。暗号資産の価格や流動性は変動します。

※本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としており、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。

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