米証券取引委員会(SEC)のマーク・ウエダ委員は23日、米ジョージタウン大学プサロス金融市場・政策センターが主催する「金融市場品質会議(Financial Markets Quality Conference)」に登壇した。前政権から引き継いだ仮想通貨関連の訴訟を複数取り下げた理由について、見直しを準備している法解釈を法廷で主張し続けることは「SECの信頼性を損なう」ためだったと説明した。米仮想通貨メディア「クリプト・イン・アメリカ」のエレノア・テレット氏がX(旧ツイッター)で伝えた。
ウエダ氏は、委員会が法解釈の「180度の転換」を準備するなかで、SECの訟務担当者を法廷に立たせて従来の解釈を主張させ続けるつもりはないとの考えを示した。
SECは2025年、大手仮想通貨取引所コインベースやクラーケンに対する訴訟を取り下げ、リップル社との長期にわたる法廷闘争にも幕を引いた。ゲーリー・ゲンスラー前委員長の下で「執行による規制」と批判された手法を改め、規則制定を通じたルールの明確化に軸足を移している。
ウエダ氏は2025年1月から4月まで委員長代行を務め、ポール・アトキンス現委員長の就任までSECを率いた。コインベースとクラーケンの訴訟取り下げはいずれもこの代行期間中に決まっており、今回の発言は方針転換を主導した当事者による説明といえる。
ウエダ氏はまた、SECが17日に承認したトークン化証券向けの「イノベーション免除」を「パイロット(試験的措置)」と位置づけた。新規参入者と伝統的な金融機関の双方に多くの機会をもたらし得るとの見方を示したうえで、新たな規則を提案する前に、まずは実際の運用から観察結果とデータを集めたい考えを明らかにした。
同免除は、自動マーケットメーカー(AMM)と流動性プールを使い、参加者を限定した(パーミッションド型の)取引でトークン化した米国上場株式を扱うプラットフォームを、証券取引所法上の「取引所」としての登録義務から一時的に外すもの。
トークン化株式には議決権や配当受領権など原株と同等の権利を持たせることが条件となっており、原株の権利を伴わない合成型トークンは対象外とされた。期限は公表から5年間で、SECは並行して意見募集を行っている。