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AIエージェント経済の「通貨」を目指すFLOP、AIが計算資源を自律的に調達できるネットワーク

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AIエージェントが自律的にサービスを利用し、他のエージェントと取引する「エージェント経済」が現実味を帯びるなか、AIの計算資源と暗号資産(仮想通貨)を結び付ける新たなネットワーク「FLOP」が注目を集めている。

開発を手がけるFlop Labsを率いるのは、BitMEXの共同創設者アーサー・ヘイズ氏だ。同氏は8月、経営の第一線に『現場復帰』することを表明し、FLOPを「AIエージェントの食料」と表現した。9月7日には、ネットワークの技術仕様とトークノミクスの概要をまとめた文書を公開している。

FLOPネットワークが目指すのは、AIエージェントが自律的に必要な計算資源を調達し、その対価を仮想通貨で支払えるインフラの構築だ。

FLOPトークンは、AIエージェントが必要とする計算資源を購入するためのネイティブ通貨として設計されている。マイナーがAIの推論処理を実行し、その対価としてエージェントがマイナーにFLOPを支払う仕組みを想定する。

同ネットワークの発想は、人間とAIエージェントでは経済活動に必要な資源が異なるという点から生まれたという。

人間は労働によって所得を得て、そのお金で食料や住居、サービスなどを購入する。AIエージェントの場合、活動に必要なのは、GPUや電力などの計算資源だ。FLOPネットワークでは、トークンそのものをAIの計算資源へのアクセス権として機能させる。

エージェントはFLOPトークンを使ってマイナーに推論処理を依頼し、計算資源を調達する。マイナーは一般的なGPUでネットワークに参加し、推論を実行して証明を提出することで報酬を得る。バリデータはその証明を検証し、ネットワークの安全性を維持する。この仕組みは「Proof of Useful Inference(PoUI=有用推論の証明)」と呼ばれ、FLOPネットワーク独自のコンセンサス・メカニズムとなっている。

FLOPという名称は、AIが行う「浮動小数点演算(Floating-point operations=FLOP)」に由来する。ヘイズ氏は、AIモデルごとに異なるトークンの量ではなく、実際の計算処理量を基準にすることで、計算資源を世界共通の尺度で評価する構想を描いている。

FLOPのジェネシス(初期)供給量は約24億8,346万FLOPとされている。

特徴的なのは、ベンチャーキャピタル(VC)向けのプレマイン(事前採掘)やトークンセールを行わず、初期供給分をネットワーク参加者にエアドロップで配布する点だ。ヘイズ氏は8月の発表で、プレセールやVCへの割り当てを行わない「100%フェアなローンチ」を掲げた。テストネット参加者を対象に、FLOP供給量の約20%を10年間かけて配布する構想も示されている。

ブロック報酬は初期段階で96FLOPに設定され、730日ごとに半減する。5回の半減を経て、

96 → 48 → 24 → 12 → 6 → 3 FLOP

と減少し、その後は3FLOPを恒久的に維持する。ビットコインのように新規発行が最終的にゼロになる仕組みではなく、一定量の発行を継続する設計だ。

初期ブロック報酬の配分比率は以下の通り。

マイナーへの配分を大きくすることで、AI推論を実際に提供する計算資源の確保を促している。

FLOPネットワークでは、マイナーとバリデータの双方にFLOPのステーキングを求める。ステークは不正行為に対する担保として機能し、虚偽の推論処理を申告したマイナーや不正なブロックを公開したバリデータは、ステークを没収される「スラッシング」の対象となる。

FLOPトークンの保有者は、自らネットワークを運営しなくてもマイナーやバリデータにステーキングを委任し、報酬を得ることができる。

アクティブなバリデータ数の上限は1,000に制限され、稼働率や検証した作業量、ステーク量などに基づき、約50のバリデータが毎月入れ替わる仕組みを予定している。ブロック生成時間は平均1秒を目標とし、将来的には1秒未満を目指す。

FLOPネットワークは、AIエージェントが自律的に計算資源を売買し、互いに取引するための「決済・通貨レイヤー」を目指すプロジェクトだ。ヘイズ氏自身が開発資金を負担し、VC向けのプレセールを行わず、エアドロップを通じてトークン配布をする方針も、他のプロジェクトとは一線を画す。

ただし、技術仕様や検証メカニズムは依然としてドラフト段階にある。プロジェクトは、2026年第4四半期のテストネットとエアドロップの実施、2027年第1四半期のメインネット開始を目標としているが、いずれも現時点では予定に過ぎず、確定的な日程ではない。PoUIの実装を含め、実用化に向けた今後の進捗が注視される。

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