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MUFG、国債レポのオンチェーン化実証へ カントン基盤を活用

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三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など4社は13日、米デジタルアセット(Digital Asset)およびProgmat(プログマ)とともに、日本国債(JGB)のレポ取引をブロックチェーン上で処理する実証実験を始めると発表した。

機関投資家向け金融に特化して設計されたブロックチェーン「Canton Network(カントン・ネットワーク)」を活用する。

参加するのはMUFGのほか、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ銀行。実証は2本立てで、2026年2月に金融庁「決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援決定を受けた実証実験の一部として取り組む。国内外の金融機関を含む市場参加者との連携も視野に入れている。

1つ目の実証は、JGBとデジタルマネーの同時決済(DvP)。

日本国債の多くは券面を発行せず、日本銀行を最上位に銀行や証券会社(口座管理機関)が階層的に管理する帳簿上の記録で権利を移す「振替国債」の形をとる。この法的性質は維持したうえで、ブロックチェーン上の取引結果と連動して帳簿にあたる振替口座簿を更新する。決済に使うデジタルマネーとしては、銀行預金をブロックチェーン上で扱えるようにしたトークン化預金や、ステーブルコインの利用を検討する。

日本銀行によると、国内の国債決済はその99.9%以上が、同行を振替機関とする「国債振替決済制度」のもとで行われている。既存インフラとの併存はトークン化の課題とされてきた。Progmatの齊藤達哉代表は同日公開した note で、今回の実証はあくまで国債振替決済制度の枠組みのなかで高度化を図るものだと説明している。

実証ではJGBとデジタルマネーのいずれもカントン・ネットワーク上で扱い、まずは単一チェーン上のDvPを検証する。振替証券管理の既存システムとブロックチェーンをつなぐ「中間装置」も、実証に必要な最小範囲で実装するという。

実証が狙うのは、既存金融市場の重いインフラを前提としたうえで、約定後の清算・決済・担保管理といったポストトレード領域を中心に、オンチェーンの共通基盤へ接続できるかを確かめることだ。売買の値段が決まる取引の場や、決済を仲介して参加者の破綻時の処理も担う清算機関の機能をただちに置き換えるのではなく、効果が見込める工程から段階的に組み込む発想に立つ。

2つ目は、レポ取引のライフサイクル全般のオンチェーン化。

スイスのSecured Finance AGが提供するレンディング・プロトコル(担保付きの資金貸借をブロックチェーン上で自動処理する仕組み)を接続し、約定後の照合や資金と担保の受け渡し、金利計算、満期管理、担保の返還までをスマートコントラクトで連結できるかを検証する。同社はUBSがトークン化した投資信託(MMF)「uMINT」に担保活用の基盤を提供している。

レポ取引とは、金融機関などの機関投資家が国債を担保に短期間の資金を借り入れる取引を指す。金融安定理事会(FSB)の2026年2月の調査によると、国債を担保とする世界のレポ市場は2024年末時点で約16兆ドル。日本はその約1割を占め、国内市場は250〜270兆円規模とされる。取引は約定の翌営業日に決済する「T+1」が標準だ。

レポ取引がオンチェーンに載ると、一般には24時間365日の取引と即時決済が可能になるとされる。数時間だけ資金を借りて返す日中取引や、海外投資家が日本の市場時間に縛られない参加もしやすくなる。国債と資金を同じ取引のなかで同時に受け渡すため、片方だけを引き渡してしまう元本リスクを抑えられる点も利点とされる。

発表資料も期待される効果として、ライフサイクル全般の自動化による業務効率化と、日中レポ取引の実現・決済時間の拡大による資金・資本効率の向上を挙げた。

担保の扱いも変わりうる。担保は拠点や法人、取引基盤ごとに分断されがちで、市場参加者は不足に備えて多めに積んでおくのが慣例だという。所在と利用状況をリアルタイムに把握できれば、「念のため保有する担保」を減らせるとの見方だ。

ただし個別取引をすべて即時決済にすると、売りと買いを相殺して差額だけを受け渡す「ネッティング」で圧縮されていた資金・証券の必要量が、かえって増える可能性もある。当面は日中取引や時間外取引から補完的に実装するのが現実的だという。

MUFG内の役割分担では、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行が市場参加者、三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行が口座管理機関、三菱UFJ銀行が預金取扱金融機関を担う。MUFGは戦略的資本提携先の米モルガン・スタンレーとも連携する方針で、発表資料では「様々な市場参加者等と一緒に取り組みたい」としている。

レポ取引のオンチェーン化は欧米が先行している。国際資本市場協会(ICMA)が6月に公表した報告書は、分散型台帳(DLT)の便益が決済や担保管理といったポストトレード領域で期待されていると整理した。

米ブロードリッジは、分散型台帳を使うレポ取引で2026年5月の平均日次取引額が3,620億ドル、月間処理額が7.2兆ドルに達したと公表している。米証券保管振替機関(DTCC)は、保管する米国債などをトークン化するサービスを10月に開始する予定だ。

国内では、Progmatが主催するデジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)が5月、「トークン化国債・オンチェーンレポ ワーキング・グループ」を設置した。3メガバンクやブラックロック・ジャパン、JPX総研に加え、今回の実証に加わるSecured Financeも5月から参加しており、10月をめどに中間整理を公表する目標を掲げている。

今回の実証はWGとは別の個別プロジェクトだが、齊藤氏は業界横断で進めている制度・実務の検討を具体的なシステムと取引フローで確かめる位置づけだと説明する。

関連: カントンのスーパーバリデーターZenith、Progmat主催の国債トークン化WGに参画

金融取引では実証と商用化の間に隔たりがあり、機能要件や通信障害時の処理は個別に設計する必要がある。今回の検証は、MUFGに限らず国内金融機関にとって商用化に向けたステップと位置づけられる。

同氏はnoteで、世界有数の規模と流動性を持つJGB市場を「既存の信頼を壊さずに」24時間稼働するオンチェーン金融市場へ接続できるかを検証したいと記している。

今回の実証の設計思想やレポ取引をめぐる海外の先行事例、カントン・ネットワークの技術的な特徴については、 齊藤達哉氏のnote で詳しく解説されている。

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