暗号資産(仮想通貨)データ・プラットフォームSantiment(サンティメント)は8日、ビットコイン( BTC )にはここ1週間で、極めて活発な動きが見られたと報告した。
具体的には、新規ウォレットの作成数が過去1年間で最多となる227万個に達している。さらに、アクティブ・ウォレット数も75万1,000個であり、これは過去10か月における最高水準だ。
サンティメントは、こうした活発化の最大の要因は、Coldcard(コールドカード)ウォレットを巡る混乱だと分析する。
セキュリティ上の懸念から、ユーザーは資金の移動、新規ウォレットの作成、保管体制の見直し、リスク状況の再確認などの対応を迫られ、こうした動きが、ウォレット作成数やネットワーク活動の急増を招いたのだと述べる。
7月30日より数日に渡り、カナダのコインカイトが手がけるビットコイン専用のハードウェアウォレット「コールドカード」がハッキングされ、ユーザー資金が不正流出した。複数回にわたって実行され、ギャラクシーデジタルの分析によると、3日までに約1,400BTC(約140億円相当)が盗まれている。
クリプトクアントのアナリストも、7月30日の64万5,000件から翌31日にかけて100万件近くまで急増したと指摘。小口保有者によるコインの移動は、FTX破綻以来の規模に達したとも述べた。
FTX破綻時には投資家が取引所から自己管理型ウォレットへ資金を移す動きが中心だったが、今回はその逆に、取引所への資金移動が目立つ形になっている。
攻撃を可能にしていた原因は、2021年3月のファームウェア統合に起因する不具合だった。一部端末でシード生成時にハードウェア乱数生成器ではなくソフトウェア由来の擬似乱数が使われていたことが判明。この脆弱性により、端末を物理的に操作しなくても攻撃者が秘密鍵を再現できる状態にあった。
ハードウェアウォレットは、秘密鍵を復元するための「シードフレーズ」を生成する。適切な場合は予測不可能な値を生成する。しかし、今回のようにハードウェアではなくソフトウェアが乱数を生成したり、乱数のビット数が不足すると、シードフレーズがブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)によって解読される可能性が上昇する。
事件後、コインカイトはファームウェアの修正版をリリースした。また、独立系セキュリティ研究者らは最新のAI(人工知能)モデルを使用したセキュリティ監査により、コインカイトのエコシステムで多くのバグを発見したと説明している。
最近ではサイバーセキュリティに関して、AIが防御側でも使える一方、攻撃側の手に渡ることの危険性も指摘されているところだ。ビットコインのセキュリティ研究者、ジェイムソン・ロップ氏は、AIの発展が、ハッカーによる今回のコールドカードの脆弱性発見を加速させた可能性があると推測した。
こうしたAIの能力進化を象徴する事例としては、4月にアンソロピックが開発中の次世代モデル「クロード・ミトス」の危険性に注目が集まっていた。同社は、このモデルはソフトウェアの脆弱性を発見し悪用する能力において、最も熟練した人間以外を凌駕するコーディング能力を持つことが判明したと述べている。なお、同モデルが今回の事件に関与したと特に確認されているわけではない。
危険性を鑑み、アンソロピックはこのモデルの提供範囲を極めて限定しているところだ。米ホワイトハウスは「クロード・ミトス」を連邦政府の主要機関に提供するための準備を進めていると伝えられる。