北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)氏は、朝鮮中央通信(KCNA)が3日に報じた談話で、仮想通貨取引所バイナンスから60億ドル超の仮想通貨が盗まれた事件を北朝鮮の犯行とした米連邦捜査局(FBI)の発表について、「重大な政治的挑発」だと非難した。聯合ニュースが報じた。
金与正氏は談話で、FBIが北朝鮮の支援を受けたハッカー組織の関与を示す情報を得たと主張し、北朝鮮を「サイバー犯罪国家」に仕立てようとしていると反発した。世界各地のサイバー犯罪がすべて北朝鮮の仕業であるかのように、米国が国際世論を誤った方向へ導いているとも述べた。
聯合ニュースによると、北朝鮮側は今回の調査結果を一蹴し、米国の対北敵視政策をいっそう強めるものにすぎないとしている。
FBIは10月31日(米国時間)、バイナンスから60億ドル(約9,500億円、1ドル=158円換算)超の仮想通貨が盗まれた事件に北朝鮮が関与したと発表した。流出が起きたのは10月29日。
米ブロックチェーン分析企業TRMラボ(TRM Labs)によると、攻撃者は10のブロックチェーン上にあるバイナンスのウォレットから約63.6億ドルを移動させ、その大半は約20分間に集中した。TRMラボによると、仮想通貨の盗難としては過去最大の規模となる。
TRMラボは発生当日の時点で、北朝鮮の精鋭ハッカー集団「TraderTraitor」による犯行と高い確度で判断していた。チェイナリシス(Chainalysis)も同集団による可能性が高いとの見方を示している。
バイナンスはブロックチェーン関連の提携先と協力し、約30億ドル相当の資産をオンチェーンで凍結したと説明した。損失は全額補填する方針だ。
FBIは2025年2月のバイビットからの約15億ドルの流出についても、北朝鮮とTraderTraitorによる犯行と断定していた。チェイナリシスは、北朝鮮が2025年に盗んだ仮想通貨を20億ドルと推計している。


