米資産運用大手アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は27日、「ミューズ」などのエージェント型AIアシスタントが家計の現金を自動的に高利回り口座へ移し替える可能性があり、預金の取り付け騒ぎにつながりかねないと警鐘を鳴らした。
全米の普通預金口座の平均金利は0.1%にとどまる一方、フィンテック各社は3.3%から5.0%の利回りを提示しているという。同社が公表したチャートでは、レンディングクラブやウェルスフロント、ソーファイなどのフィンテック企業が比較対象として挙げられている。
スロック氏は、すべての家計がAIエージェントを使って現金の運用効率を高めた場合、銀行は融資の原資となる低コストの預金の多くを失う可能性があり、金融システム全体の問題になり得るとの見方を示した。
ステーブルコインを用いてAIエージェントが自律的に対価を支払う仕組みとしては、オープン規格の決済プロトコル「x402」がすでに存在する。同プロトコルは2025年5月に米仮想通貨取引所コインベースが公開し、2026年には米リナックス・ファウンデーション傘下の「x402ファウンデーション」に移管され、コインベースやサークル、クラウドフレアなど大手企業が参加しているという。
運営元によると、直近30日間の決済件数は約7,500万件、決済額は約2,400万ドルに達したとされる一方、ブロックチェーン分析企業TRMの分析では、実際に複数のサービスを横断して支払う「真のエージェント取引」は全体のごく一部にとどまるという。
x402ファウンデーションの正式発足は2026年7月14日で、発足時点の参加団体は40程度だったが、その後は50を超える規模まで参加企業の拡大が続いている。