マーケットメイカー大手のウィンターミュート(Wintermute)は21日付の週次市況レポートで、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げと、米上院でのクラリティー法案の採決という2つの材料をいずれも市場が通過したとの見方を示した。
同社によると、21日朝の時点でビットコイン( BTC )とイーサリアム( ETH )は数時間のうちに相次いでレンジ上限を上抜けた。米国時間の取引開始前には約2億5,000万ドル規模のショート(売り持ち)の清算が発生し、BTCは8万6,000ドルと約8カ月ぶりの高値をつけたという。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日、政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75から4.00%とした。投票は12対0の全会一致で、2023年7月以来の利上げとなる。
同社は、ややタカ派的な利上げはグロース資産にとって最良の結果だったと評価した。10年債利回りが5%にある中でハト派的な利上げとなれば、FRBが夏に取り戻した信認を失っていたとしている。ドットチャート(政策金利見通し)が年内あと1回の利上げを示す一方、市場は2027年後半までに計3回の追加利上げを織り込んでいるという。
クラリティー法を巡っては、9月15日に上院で行われた討論終結(クローチャー)動議の採決が賛成49、反対50となり、必要な60票に届かなかった。BTCは採決を受けて一時7万6,000ドルを割り込んだものの、利上げ決定後は1取引日のうちに切り返した。
同社は、米証券取引委員会(SEC)のアトキンス委員長と米商品先物取引委員会(CFTC)のセリグ委員長が翌日、既存の権限の下で仮想通貨ルールを整備する姿勢を示したことから、否決が相場に与えた打撃は1取引日分にとどまったと分析する。
米国のビットコイン現物ETFでは、15日と16日の2日間で計7億4,600万ドルが流出した後、17日に1億5,950万ドル、18日に4億3,300万ドルが流入した。同社は5営業日の差し引きを約600万ドルとし、法案否決に伴う流出分は48時間以内に埋め戻されたと説明。この資金フローを根拠に、足元の上昇は無期限先物主導のショートスクイズにとどまらないとみる。
一方でイーサリアム現物ETFは週間で流出超過となっており、機関投資家の買いは引き続きBTCが中心だとしている。
先週のBTCは7万5,000ドルから8万1,000ドル、ETHは2,350ドルから2,600ドルのレンジで推移した。20日までの週の終値は8万1,159ドルで、44週連続で下回っていた50週移動平均線を2025年11月上旬以来初めて上回った。
同社は、50週線が過去の弱気相場で上値抵抗線として機能してきた点を挙げ、今回の回復は6月の安値が維持されることの確認と読めるとの認識を示した。
オプション市場では、BTCとETHの年末満期の低デルタ・コールやコールスプレッドの買いが増えている。12万6,000ドルの史上最高値を年内に更新できるかが取引相手の間で議論されている点について、同社は時期尚早としつつも、ポジションの軸足がレンジのヘッジから上値の獲得へ移ったことの表れだと分析した。
今週はFRB高官の講演が10回予定されているほか、23日に購買担当者景気指数(PMI)速報値、23日から25日には中国の習近平国家主席の訪米、25日には四半期オプション満期が控える。同社は最大の材料だったFOMCはひとまず通過したとし、今週は新たな価格水準を固めつつ利益確定売りを吸収する局面になるとの見方を示した。
関心はBTCと、大型アップグレード「グラムステルダム(Glamsterdam)」を控えるETHに加え、ソラナ( SOL )やハイパーリキッド( HYPE )に移るとみている。レポートは足元の市場の高揚感を現時点では健全だと総括し、「陽線は心を癒やす」との一文で締めくくった。