国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は小確りと推移しており、28日正午時点で、1270万円周辺で推移している。
米財務省による長期国債買い戻し規模引き上げの発表を受けて、先週のBTC円は1000万円周辺から1260万円台まで急伸。週末には1230万円周辺まで押すも、国債買い戻しの原資に財務省一般勘定(TGA)が利用される可能性があるとの報道を受け、TGAの取り崩しによる市場流動性の改善期待から、今週は週明けから1300万円を試した。
しかし、ジャクソンホールでのウォーシュFRB議長の発言を28日に控え、相場は1300万円手前で上げ渋ると、25日には利食い優勢となり1250万円周辺まで反落した。
週央は小幅な揉み合いが続いたが、27日にはエヌビディアの好決算を背景に米ハイテク株が上昇し、BTCも一時は1300万円に肉薄したが、重要イベントを前に高値を追う動きは限定されている。
来週のBTC相場を見通す上では、まず28日のジャクソンホール会議におけるウォーシュFRB議長の発言内容と、それを受けた米国債市場の反応が焦点となろう。
足元では、米財務省による長期国債の買い戻し規模引き上げや、TGAを原資に買い戻しを実施する可能性が浮上しており、長期金利の上昇抑制や市場流動性の改善に対する期待が高まっている。一方、ウォーシュ議長は市場への介入には否定的で、長期金利の上昇についても景気に一定の引き締め効果をもたらしているとの認識を示してきた。このため、長期金利を押し下げたい財務省と、市場の価格発見機能を重視するFRBとのスタンスの違いが改めて意識される可能性がある。
無論、ウォーシュ議長も財務省による国債市場の機能維持という目的そのものには一定の理解を示すとみられる。ただ、市場機能に問題がない限り金利形成には介入すべきではないとの姿勢を維持すれば、長期金利の上昇を事実上黙認する格好となろう。先週は長期国債の買い戻しを巡って米国の財政持続性に対する懸念がBTC買いにつながった経緯もあり、長期ゾーンを中心に金利が上昇する場合には、再び財政懸念が意識され、無国籍通貨としてのBTCには追い風となる可能性がある。
他方、金融政策については、明確な手掛かりが得られない可能性が高そうだ。ウォーシュ議長は市場との対話を必要最小限にとどめるスタンスを取っており、9月のFOMCや年末までの政策運営について具体的な示唆を与える公算は大きくない。ただ、インフレが再加速すれば利上げに踏み切る用意があるとも発言しており、足元で続く原油高を引き合いに、利上げというカードが依然として手中にあることを市場に牽制する可能性には留意したい。
このため、ジャクソンホール通過後は米国債利回りが上昇するか否かだけでなく、イールドカーブのどの年限に上昇圧力が掛かるかがBTC相場を見通す上で重要となろう。原油高への警戒から利上げ観測が強まり、短期金利を中心に上昇する場合には、金融環境の引き締まりが意識され、BTCにはネガティブとなりやすい。反対に、ウォーシュ議長が長期金利の上昇を容認する姿勢を示し、長期ゾーン主導で利回りが上昇すれば、米財政への懸念が再燃するとともに長短金利差も拡大し、BTCには支援材料となろう。
総じて、来週のBTC相場はジャクソンホール通過後の米国債市場の反応を見極めながら方向感を探る展開となりそうだ。足元ではTGAを巡る流動性改善期待や米財政への懸念が相場の下値を支えている一方、原油高を背景とした利上げリスクも燻っている。短期金利主導の金利上昇となれば利益確定売りを誘発する可能性がある一方、長期金利主導となれば財政懸念を背景にBTCが再び上値を試す展開が期待される。従って、ジャクソンホール後は金利の方向そのものよりも、イールドカーブの変化に注目したい。