コインシェアーズは21日付の週間マーケットリポートで、ビットコイン( BTC )の直近の反発はマクロ経済動向を主因とした値動きであり、仮想通貨市場に固有の要因によるものではないとの見方を示した。同社は、過去最大規模のショートポジション解消がこの上昇を増幅させたと分析した。
具体的には、19日に公表された7月開催分のFOMC議事要旨は金利据え置きの政策決定より踏み込んだタカ派的な議論を示していたが、その後の物価鈍化と雇用者数の伸び鈍化といった経済指標がさらなる利上げの根拠を弱め、米金融政策の転換観測を強めたことで、流動性や実質金利に敏感なビットコインの価格もこれに反応したとした。
米国債市場でも短期金利は追加利上げ観測の後退で低下する一方、財政悪化への懸念から30年債など長期金利は上昇しており、この緩和観測と財政懸念の併存が歴史的にビットコインの支援材料となってきたとした上で、長期金利を抑える財政当局の関与は市場にハト派的な動きと受け止められ、今週の値動きに反映されたと分析した。
ベッセント米財務長官が今週拡大した国債買い戻し策について、コインシェアーズは支援材料というより問題含みだとし、買い戻しは長期金利への圧力を一時的に和らげるものの、原資となる短期国債発行の増加で政府債務の平均償還年限が短期化し、財政が短期金利の変動に一段と敏感になると指摘した。
また、長期金利の上昇はこれまで金融引き締めの一部を代替してきた面があり、財政当局がこれを抑え込めば金融環境が緩んでFRBが高金利維持や再利上げに動く可能性が生じ、財務省自身の借り換えコストがより早く上昇するという矛盾もあるとした。
市場はこの介入を金利抑制策と受け止めており、ドル安が進めば輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力が強まり、FRBが緩和しづらくなるとの分析を示した。その上で、この手法は借り入れコストの高止まりに対する持続的な解決策ではなく、長期金利の圧力をドル安や短期金利への感応度上昇と引き換えているに過ぎず、財政への信認問題は解決されないままだと結論づけた。
一方で、ビットコインの需給構造は水面下で改善しているとコインシェアーズは分析し、大口保有者(クジラ)が売却をやめて再び蓄積に転じ、200日移動平均線を明確に上抜けたとした。ただし当面は8万ドル近辺を上値のめどとするレンジ内推移が続くとみられ、次の試金石となるジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長ら政策当局者の発言が市場の織り込むハト派的な姿勢を裏付ければ、この水準を上抜けるきっかけになり得ると分析した。
また、資金フロー面でも機関投資家の需要回復がうかがえるとし、デジタル資産に投資するETP(上場投資商品)には今週22億ドルの資金が流入し、年初来で最大の週間流入額を記録したとした。このうちビットコイン関連商品への流入は16億ドル程度で、年初来の資金フローはこれによりプラス圏に転じたと評価した。
価格動向に加え、コインシェアーズは規制動向にも言及した。クラリティー法案を巡る進展や政府と業界の対話継続は、ビットコインよりもイーサリアム( ETH )やソラナ( SOL )、その他のアルトコイン市場に直接関連するとした上で、規制の枠組みが明確になれば仮想通貨業界全体の見通し改善につながるとした。
一方、仮想通貨資産運用大手グレースケールは、分散ポートフォリオの中でビットコイン( BTC )を検討する意義を説きつつ、株式や債券と異なりキャッシュフローを生まない商品(コモディティ)である点が投資判断を難しくしているとした。
その上で、将来の値動きは誰にも断定できないとしつつ、構造的な普及トレンドの継続、直近のベア相場入りから10カ月が経過した現在のサイクル位置(過去のベア相場は11〜12カ月継続)、実質金利をはじめとするマクロ環境という3つの観点はいずれも長期投資家にとって有利な参入時期を示唆していると分析した。