米学術誌「Review of Accounting Studies」に掲載された研究では、暗号資産(仮想通貨)を保有する米国内納税者のうち、取引を連邦政府に申告しているのは32%から56%にとどまるとの推定が示された。米CNBCが5日、この研究や税務専門家の見解を基に報じた。
背景には、米国内国歳入庁(IRS)が仲介業者に申告様式「フォーム1099-DA」の提出を2025年分の取引から義務化したことがある。株式取引の「1099-B」に相当する仮想通貨版で、業者報告と納税者の申告に不整合があれば当局に把握されやすくなる。
同フォームは、仲介業者が投資家の売却・交換収益を税務当局へ直接報告する仕組み。初年度となる2025年分は総収益のみの報告にとどまり、取得原価(コストベース)の報告義務は2026年分の取引から加わる。
米ブリガムヤング大学で会計・税務を教えるトロイ・ルイス氏(公認会計士)は、こうした情報開示が金融資産の課税にとって「すべて」を左右すると述べた。同氏によれば、仮想通貨の税務環境は約15年前の株式市場に似ており、2011年に導入された1099-Bで株式投資家の申告が定型化した経緯をたどる可能性がある。
ルイス氏は、ビットコイン( BTC )を1回購入し、単独の取引所で保有した後に売却するような単純な取引であれば、納税額の算定は比較的容易だとした。一方、複数の取引所や自己管理ウォレット、分散型金融(DeFi)を組み合わせて利用する投資家は、仲介業者が全体の取引履歴を把握できないため、申告の負担が重くなると述べた。
同氏はDeFiレンディングについて、仲介機関を介さない「自己実行型スマートコントラクト」が記録を残さないケースが多く、税務上最も厄介な領域だと語った。「取引所が履歴を無期限に保持すると思わない方がよい」とし、ウォレットや取引所、手数料を含む記録を早期に一元管理するよう助言した。
IRSの新規則は現時点でカストディ型の仲介業者を対象とし、当初検討されていた分散型金融(DeFi)プラットフォームへの報告義務は見送られた。米国で確定申告を行う投資家にとって、フォーム1099-DAの記載内容と自身の取引記録との照合が、今後の税務対応の焦点になる。