米金融大手のJPモルガン・チェースは29日、仮想通貨の規制枠組みに関するレポートを公開した。同行グローバル共同決済責任者のウマル・ファルーク氏とデジタル資産・ブロックチェーンソリューションCEOのピーター・ムリウンギ氏が連名で執筆したものだ。
レポートは、仮想通貨がもはや金融の周縁で語られる技術ではなく、支払い・清算・取引など米国金融システムの中核に向かって移行しつつあると指摘した。その上で、規制の明確化は必要だが、抜け穴を伴う明確化は活動を監督の薄いチャネルへ押しやり、長年の保護を弱体化させうると警告した。
レポートが特に強調したのは利回り型ステーブルコインへの懸念だ。消費者が残高を保有するだけで「報酬」や「キャッシュバック」を受け取れる設計は、従来の預金に伴う安全網があると消費者が誤認しやすいと指摘した。
ファルーク氏とムリウンギ氏は「そうでない場合、結果は単なる消費者の混乱にとどまらず、取り付けリスクの高まりや、金融ストレス時の不安定な資金移動につながる」と述べた。利回りを提供するステーブルコインが「影の銀行」へ逸脱する恐れがあるとし、伝統金融の預金商品に課される監督基準に準拠すべきだとした。
また、マネーロンダリング対策(AML)の観点も強調した。「デジタル資産市場が不正活動の盲点にならないよう確保することが同様に重要だ。これらの技術が主流金融に統合されるにつれ、強力なAMLと法執行ツールは任意ではなく、必要不可欠な基盤だ」と記した。
執筆者はレポートの中で、自社のブロックチェーン事業「キネクシス」が機関投資家向けに24時間・365日対応の即時決済を可能にする預金トークン「JPMコイン」を最近ローンチしたことも紹介した。
トークン化・プログラマブルマネー製品も提供しており、個人・中小企業向けの金融サービスへの応用も探っているという。
両氏は「責任ある革新はすでに既存の規制の枠組みの中で可能であり、適切な枠組みが整えばさらに拡大できる」と述べ、デジタル資産は既存の証券・銀行規制に概ね従うべきだとの立場を示した。